高身長へのコンプレックスが今も拭えない
── それはどういった壁なのでしょう。
大林さん:そもそも私は、自己肯定感がものすごく低いんです。子どものころから身長が高いことで、ずっといじめられてきた経験が根底にあって、いまだに拭いきれないコンプレックスがあります。バレーでどれだけ結果を出しても、その根本的な自信のなさだけは埋まりませんでした。だから、相手が誰であれ「みんなすごい」と、無条件に尊敬してしまうところがあるんです。自分を特別だと1ミリも思っていないからこそ、若い世代が私を知らないと言われても、「知らないの?」なんて思わず、フラットに受け入れられるのだと思います。でも、その精神が表現の世界では、かえって邪魔になってしまうこともあるんです。
── その精神が邪魔になる、とは?
大林さん:自分を解放しきれないようなところがあるのではないかと…。たとえば演劇だと、自分を思いきり出すことが大事なのに、どこかで遠慮して一歩引いてしまう。蜷川先生に言われて一番大切にしているのは、「君はふつうの芝居をするのではなく、日本一グロテスクな女優になったらいいよ!」という言葉でした。今でも葛藤しながらもがいております。「永遠の新人感」が、私の一番の課題でもあるんだろうなとも感じています。

── その「殻」を感じながらも、歩みを止めないのはなぜですか。
大林さん:まだまだやってみたいことが山ほどあって、それをひとつずつ達成していくのが楽しくてたまらないんです。ただ、独身で身軽だから動けるというのも正直あると思います。家族や仕事の状況で、優先順位は人それぞれ違いますよね。
それでも、もし自分の中に「やってみたい」と引っかかるものがあるなら、言葉にするだけでもいいし、小さくても一歩踏み出してみることをお勧めしたいです。そのままにしておくと後悔が残ってしまいますから。周りの意見を聞くのは大事ですが、最終的にどうするかは自分で決めたほうがいい。それを強烈に実感したのが、うちの母の姿でした。