それでも、命ある時間は限られているから

── お母さんのどのような姿を見て、そう感じられたのですか。

 

大林さん:母は70歳を過ぎてから芝居をはじめ、84歳の今でもがんばっています。先日の公演で初日の昼公演後に階段から落ちて頭を打ち、救急車で運ばれてしまいまして、夜の公演は代役の方に出演していただきました。3か月前にも頭を打って入院したばかりだったので、翌日の公演は当然お休みするものと思っていました。

 

でも、母は「休むと迷惑がかかる」と言い張って、残り2日間も舞台に出続けたんです。やりたいことは絶対にやる母の姿に呆れながらも、「やっぱり血は争えないな」と思いました(笑)。結局、最後まで自分で決める人生なら、少なくとも本人に後悔はないのかもしれない。母を見ていて、そんなふうに感じました。

 

── 日々の忙しさに追われていると、自分が本当にやりたいことが見えなくなってしまうこともありますよね。

 

大林さん:そんなときは、ばくぜんと頭のなかにあることを一度紙に書きだしてみるだけでも、心が整理しやすくなると思います。いろんなものを背負って頑張っている人たちにこそ、ぜひやってみてほしいですね。人生の時間は限られていますから、体が動くうちにできることは、そのときにやっておきたい。行動するなかで新しく見えてくる景色もあると思うので、まずはできる範囲で一歩動いてみる。それが、自分の人生を大事にすることなのかなと感じています。

 

取材・文:西尾英子 写真:大林素子