料理は「盆栽」。1000回以上のレシピ改良

── すべては麻辣湯の味を追求するため。すぐに結果を求める「タイパ」重視の時代ですが、料理の世界には当てはまらないのかもしれません。

 

石神さん:うちの麻辣湯の味は常に進化しています。レシピの改良は細かなもの含めると、1000回は軽く超えます。スパイスの加熱温度から、新しい具材への挑戦まで…味の追求に終わりはありません。

 

私は絵画や陶芸などの芸術が好きなんですけど、料理は「盆栽」に近い。生きている樹木をただ野放しにしていても、美しくはなりません。成長とともに剪定や矯正することで健康になり、美しく輝いていくんです。麻辣湯も同じで、手をかければかけるほど美味しくなる。非常に奥が深く、無限の可能性を秘めている。味がどう進化していくか、僕自身がいちばんワクワクしています。

 

 

石神さんが2000万円を溶かしたどん底で気づいたのは、原点に立ち返ることの大切さでした。「タイパ」が叫ばれる時代だからこそ、誰にも真似できない「圧倒的な非効率」だけが、あなたを唯一無二の存在に変えてくれるのかもしれません。あなたが明日を生き残るために、あえて手間をかける「こだわり」はありますか?

 

取材・文:百瀬康司 写真:石神秀幸