「イエス、フォーリンラブ」のフレーズで一世を風靡したお笑いコンビ、フォーリンラブのハジメさん。現在、彼は芸人として活動を続けながら、建築現場で泥にまみれ、汗を流す日々を送っています。会社設立から丸3年。「正直、この仕事は向いてない」と自覚しながらも、なぜハジメさんは現場に立ち続けるのか。かつての夢を「諦めた」と静かに語る40代の彼が、葛藤の末に見出した「プライドよりも大切なもの」とは。再出発への覚悟に迫ります。
「シロアリから家を守る」下請けとして現場に立つ3年目の現実
── 2022年に、住宅のシロアリ被害を防ぐため、ホウ酸を吹きかける施工をする会社、「株式会社ICOLA」を設立されました。シロアリが入ってくる経路を防ぐ作業も行っているそうですね。収入も月によって変わると伺いました。
ハジメさん:まさにそうです。シロアリって、5月のゴールデンウィーク頃、雨が降った翌日に晴れると一斉に飛ぶ日があるんです。それを見ると急に依頼が増えます。
去年の春に建築基準法の改正があって。建築の審査が厳しくなり、基準をクリアするためには施工費の予算が上がる。そのため、一昨年の冬は駆け込み需要でめっちゃ忙しかったんです。でも通常は5〜12月までが繁忙期。1〜3月は閑散期になるので、収入の浮き沈みは大きいです。月商が20万のときもあります。

── 現場でハジメさんだと気づかれることはありますか。
ハジメさん:あまりないですね。注文住宅が完成前の現場作業ですし、完全に業者の格好ですから。ただ、大工さんや工務店さんは僕だと知っているので、「なんでまたこの仕事なの?」と聞かれることはあります。建築業界の中でも珍しい分野といいますか、結構、渋い仕事ではあるんで。
── 芸人と、現場で作業をする現在の大変さ。単純に比べられるものではないと思いますが、ハジメさんはどう思っていますか?
ハジメさん:芸人の仕事は「席取り合戦」。誰かが自分の席を常に狙っていて、人の嫌なところも見えてくるので、精神的にはキツいです。逆に現場作業は、体力的なしんどさがありますね。いつまでもできる仕事だとは思えないので、自分の腰が終わる前にだんだん人を回せるようになりたいと頑張っている最中です。