毎朝、満員電車に揺られるだけで、その日のエネルギーを使い果たしてしまう。依然として高い日本の通勤ストレス。ある調査では、通勤時間が長くなるほど幸福度が低下するという『通勤地獄』の相関関係も指摘されている。そんななか、サービス開始から2年で広がりを見せているのが、小田急電鉄による特急ロマンスカーのサブスクだ。人々の「QOL(生活の質)」に貢献し、時短勤務のママや多忙な会社員の予想外の『第3の居場所』として定着し始めている──。 

「1回102円」缶コーヒーより安く「座って通勤」

── 特急列車「ロマンスカー」の座席予約ができて、月額払いで平日なら毎日往復利用できるサブスクと聞くと、料金が高そうでリッチな人しか利用しないように思えたりするのですが、そうした層への付加価値サービスなのでしょうか? 時短で働くママたちの聖域にもなっているそうですが。

 

小田急広報担当:リッチな人向けというわけではないですよ。たとえば、全区間(最長で小田原・新宿間)利用ができる1か月9000円のチケットを購入いただければ、平日22日換算で往復利用したとして、通常利用よりも3万2800円お得になります。

 

── 計算してみたのですが、9000円のチケットを最大限活かせば、1回あたり実質205円の特急料金で済む計算になります。もっとも利用の多い町田・新宿間だと、定額4500円での利用なため、同様に考えると実質、1回102円程度になります。たしかにこうした数字を出して見ると値頃感を感じます。しかも毎回座って快適に早く目的地に行ける。サービス開始以来、約2年が経過しましたが、どのくらいの方が利用されているのでしょうか? 

 

小田急広報担当:月に数百人程度のお客さまがご利用されています。ご購入いただいたお客さまの利用頻度として多いのは月に14〜17回のゾーンが最多を占めます。年代別にみてもほぼ同等の比率で利用いただき、最多は40代と60代で、それぞれ全体の30%前後を占めています。男女比では男性が多い傾向です。皆さま、通勤の往復に利用されたり、帰りだけはロマンスカーで座って行きたいと利用する方も多いようです。時短勤務の女性が帰りだけ利用するケースも多いですね。

 

ロマンスカー
PC作業もしやすいテーブル付きがありがたいロマンカーの車内

── そもそも、このサービスはなぜスタートしたのでしょうか?

 

小田急広報担当:以前からロマンスカーを定額利用で提供するサービスのアイデアはありました。ただ、既存のシステムで行う際はコストなどの課題もあって、なかなか実現に至らずにいました。しかし、コロナ禍になると旅行の機会なども減ってしまい、利用者数が激減。そうしたなか、全社的にも新しいサービスを検討する機運が高まりました。

 

そこで、柔軟にチケットの組成・管理ができる機能を有する当社運営のチケット販売サービス・EMotを活用して、ロマンスカーの定額サービスとして生まれたのが「EMotロマンスカーパスポート」です。2022年11月から4か月かけてトライアルを行い、2024年4月から本格的なサービスの販売を始めました。