「全部、私が悪いんでしょ!」。昨年公開された短編映画『母娘』で放たれるこの叫びは、映像作家・西坂來人さん(40)が、かつて孤独に戦っていた母、そして今、孤立して自分を責めるすべての人へ届けたかったメッセージです。父の暴力から逃れ、児童養護施設での生活を経て、働き詰めの母に代わって家事を担いながら夢を叶えた西坂さん。超人的な努力で人生を切り拓いてきた彼が、あえて「ひとりで頑張らなくていい」と語る理由とは。自力で生き抜いたからこそ見えた、現代社会に潜む「孤立の本当の犯人」に迫ります。
「大人って自分勝手だ」施設で抱いた社会への不信感
── 西坂さんは、父親の暴力をきっかけに、小学5年生から1年半ほど、弟さんや妹さんたちと5人で児童養護施設で生活されました。当時、ご家族や大人に対してどんな思いだったのでしょうか。
西坂さん:家族を恨む気持ちはそれほどありませんでしたが、大人に対して「信用できない」「自分勝手だ」という不信感が強かったです。施設には虐待の影響か、夢遊病みたいに夜中を彷徨ったり、自分の頭を壁に打ちつけるような子も一緒に住んでいました。そんな子たちと暮らす環境に絶望したし、虐待に遭った子どもたちを1か所に集めて、社会から見えなくしているんじゃないかと。

それでも、小学校卒業と同時に母が迎えに来てくれました。自立するために働きづめで環境を整えてくれた母には感謝しかありません。中学・高校時代は、母の代わりに家事や幼いきょうだいの世話に追われましたが、母の頑張りがあったおかげで、児童養護施設時代に一度諦めかけていた幼少期からの夢をもう一度、叶える決心を貫くことができました。「絶対に映画作りを仕事にする」と。