26歳で生死をさまよう交通事故を経験した、歯科医師の鹿乃さやかさん。奇跡の生還から4年、ようやく自身の歯科医院を立ち上げた矢先の30歳、さらなる転機が訪れます。定期検診で「異常なし」とされていた裏側で、静かに進行していた子宮頸がん。宣告された治療法は、30歳の女性にとってあまりに大きな「選択」を迫るものでした。なぜ、自覚症状のないまま病状は進んでいたのか。そして、一度は絶望した彼女を再び前へと突き動かした「存在」とは。医療従事者であり、一人の当事者となった彼女が、痛みを晒してまで伝えたかった「覚悟」に迫ります。

無症状でもステージⅠB2期。「検査の死角」に愕然

── 26歳のときに交通事故に遭い、瀕死の重傷を負った鹿乃さん。奇跡の復活を遂げるも、31歳のときに子宮頸がんが発覚します。きっかけは何でしたか?

 

鹿乃さん:自覚症状はまったくなく、定期健診でたまたま見つかったんです。でも精密検査の結果は、すでに「IB2」という進行した状態。実は以前の検診では「異常なし」と判定されていたんです。医師からは、前回の段階ですでにがんが存在していた可能性を指摘されました。細胞を採取する場所によって、陽性なのに陰性と出るリスクが検診にはある。それでも、もしあのとき、気づけていれば、子宮を残す手術で済んだかもしれない…。その事実は、やはりショックでした。

 

── 検診上のリスクは避けられないとはいえ、受け入れがたい事実です。

 

鹿乃さん:そうですね…。自分の経験を踏まえたうえで、もし診断結果に納得がいかなかったり、体に少しでも不安があるなら、セカンドオピニオンを求める勇気を持ってほしいです。

 

鹿乃さやか
子宮全摘出手術前の鹿乃さん。つとめて平静に、いつも通りの振る舞いで

── 鹿乃さんの場合は、自覚症状がなかったためにより病気の発見が遅れてしまったのですね。

 

鹿乃さん:IB2まで進んでいたのに自覚症状はまったくありませんでした。よく初期症状で挙げられるのは不正出血ですが、それもなくて。つまり、症状に気づいてから病院に行くのでは手遅れになることがある。特に症状がなくても、定期的に診察を受けてほしいですね。私は歯科医師なので、歯も同様に、定期検診をおすすめしたいです。