1.3%の歯科医しか持たない難関に合格し「痛くない治療」を

── 30歳で独立。歯科麻酔認定医という、非常に難易度の高い資格も取得されています。

 

鹿乃さん:歯科医のわずか1.3%しか持っていないとも言われる難関試験でしたが、どうしても必要だったんです。点滴から鎮静剤を入れることで、寝ているような状態で治療ができる「静脈内鎮静法」。これなら、歯医者が怖くて虫歯を放置し、歯を失ってしまう人をゼロにできる。患者さんから「寝て起きたら終わっていた。先生のおかげです」と言われるたび、父の背中を追って歯科医を目指したころの情熱が蘇ります。

 

鹿乃さやか
日本歯科麻酔学会の認定医として日々患者と接している

26歳で瀕死の事故に遭うなんて思いもよらなかったし、理不尽な状況に絶望した時期もありました。でも「これは神さまに与えられた試練なんだ。きっとこれからものすごいいいことが起こるに違いない、後悔しないように生きたい」って思ったんですよね。その信念があったからつらいリハビリも頑張れたし、YouTubeや病院の立ち上げなど、過去の自分だったら絶対にチャレンジしていなかったことを実現できたんだと思います。

 

 

壮絶な苦しみを経て、痛みの当事者として「救う側」に立った鹿乃さん。みなさんは、病気やケガの絶望から救ってくれた言葉や、忘れられない「医療現場での経験」はありますか?

 

取材・文:池守りぜね 写真:鹿乃さやか