30歳になった息子。缶酎ハイあけ「カッコいいやろ」

── ドラマを楽しみに拝見していました。良太さんは今、どうされていますか。

 

岸田さん:良太は30歳になりました。高校を卒業してから、就労継続支援B型の作業所で働いています。27歳のときに家を出る決断をして、今はグループホームで暮らしています。自立はしたものの、何かと問題を起こして、スタッフの方から私に電話がかかってくることがあるのですが…。

 

この間は、作業所の昼休みに缶酎ハイを買ってきて、プシューッとあけて飲んでいたそうなんです。本人は「カッコいいやろ、オレ」という気分だったのでしょうね。お酒を飲むことは悪いことではないけれど、TPOは教えないといけないし、飲みすぎたらどうなるかを理解してもらわないといけない。

 

そこで、奈美とみずきくんにお願いして、「お酒を飲んだらこうなるよ」という寸劇を披露してもらいました。「ぐびぐびー!」とお酒を飲む真似をして、「頭痛い、お酒なんて飲まなければよかった!」って。大好きなみずきくんが苦しんでいるのを見て、良太は「お酒は飲まない」と自分に言い聞かせていました。

 

こんなこともありました。グループホームでは、夜中にゲームをしないようにゲーム機をリビングで充電しています。良太は、夜中にどうしてもゲームがしたくなって、なぜかほふく前進でゲーム機を盗みに行ったそうです。わざわざほふく前進をするなんて、笑いを取りにいっているのは明らかですよね。迷惑をかけてしまってはいけないと思いつつ、つい笑ってしまいます。

 

もともと私は、人目を気にして「こうでなければいけない」という「自分ルール」をたくさん持っているタイプでした。でも、「人と比べてもしかたがない」「人と違ってもいい」と思えるようになったのは、良太が生まれてからです。おかげで、私も家族も生きるのがラクになりましたし、楽しくなりました。

 

 

奈美さんが中学2年生、良太さんが小学4年生のときに父・浩二さんが急逝。その後、シングルマザーとしてふたりの子どもを育てている最中、ひろ実さんは病気で下半身麻痺に。現在は、車いすで生活しています。

 

取材・文:林優子 写真:岸田ひろ実