不安は尽きないけれど「それでもいいか」と

立石美津子
就労支援事業所に通い、働くためのスキルを学んだ光汰朗さん

── 今でも不安に感じていることはありますか?

 

立石さん:不安は尽きません。今いちばん大きな心配事は「もしものとき」のことです。たとえば、私が病気になったらどうするのか。認知症になってしまった場合、介護施設などに入る手続きは誰がするのか。さらに、「親亡き後」問題についても…。私は未婚の母として光汰朗を出産し、ひとり息子として育ててきたため、光汰朗が頼れる家族は私以外にいないのです。

 

光汰朗自身は、まだ私がいなくなった後の生活について、具体的に想像できていない様子です。だからこそ、「私が元気でいなければ」という気持ちが強くなり、体調に違和感や不安を感じるたびに、病院で検査をしてもらっています。実はこれ「疾病恐怖」という強迫観念の症状のひとつらしいのです。

 

「病気になったらどうしよう」という強い不安から、頻繁に通院したり過剰な検査を求めたり…。でも、生活がままならなくなるほどこじらせてはいないので、「不安があっても、まあいいか」と思える範囲でつき合っています。

 

──「不安をなくそう」とはせずに、向き合おうとしているのですね。

 

立石さん:はい。私は中学2年生で強迫性障害を発症しましたが、それ以降、何度も再発を繰り返してきました。そのなかで、不安をなくそうとすればするほど苦しくなるということを経験してきましたからね。それに、「できるだけ長く光汰朗と過ごしたい」という気持ちが、私自身の原動力にもなっていると感じています。

 

以前は、「こうあるべき」という正解を定めて、それに従ってきました。でも子育てを通して、人生にはお天気のようにコントロールできない部分もあるということを知ったんです。だから今は、不安を消すことよりも「不安とともに、どんな生活を送っていけるか」を大切に考えています。