中学生で強迫性障害を発症した立石美津子さんは、38歳で未婚の母として、長男を出産しました。子どもが2歳のとき、発達障害のひとつである「自閉症」と診断され、深い悲しみに暮れますが、長男が25歳になり自立への道を歩む今、気づいたことがあると言います。
「全部できる」わけじゃない。でも、生活は回っている

── 2歳で自閉症と診断された息子さんは現在、25歳になり、社会人として働いているそうですね。今の暮らしについて教えてください。
立石さん:25歳になった息子の光汰朗は、障害者雇用で会社に勤め、パソコンを使った事務仕事をしています。穏やかに通勤できていますが、やはりどこかで疲れやストレスを感じているのか、帰宅後は暴言を吐いたりして、荒れてしまうこともあります。そんなとき私は、「リラックスするための発散方法なんだろうな」と思って、自身で耳栓をしてやり過ごしています(笑)。
家での生活においても、光汰朗のできることが少しずつ増えてきました。留守番もできますし、私が出張で不在になるときも、1泊くらいならひとりで過ごすことができています。すべてを完璧にこなせるわけではありませんが、「生活が成り立つかどうか」という意味では、ちゃんと回っていると感じています。
料理もできるようになってきました。ただ、「塩少々」とか「火加減を見る」などの曖昧な表現を理解することが苦手なので、「塩2グラム」とか「沸騰したら弱火にする」といった具体的な指示に置き換えることが大切です。そうすることで、納得して取り組めますし、感覚で作るよりも、むしろおいしく仕上がることが多いんですよ。
── 自閉症などの発達障害では、「できないこと」に目を向けてしまう親も少なくないようですが、「やり方が合えば、できることはたくさんある」ということですね。
立石さん:そうですね。もちろん、何でもできるわけではありません。でも、「できない」と思っていたことでも、やり方を工夫すれば「できる」に変わることがあるのだと、子育てを通して学ぶことができました。
仕事にも就くことができ、日常生活も私に頼らずひとりでできることが増えています。今後、ひとり暮らしをするという選択肢も、決して非現実的ではないと思っています。