「100歳まで生きたいとは思わない」。今年還暦を迎える鈴木保奈美さんは、驚くほど軽やかにそう語ります。3人の娘を育て上げ、ひとりの女性として新たなステージに立つ今、彼女の頭をよぎるのは「人生の引き際」と、遺される家族への想いでした。彼女が娘たちのためにと準備し始めた、意外な「終活」の中身とは。合理的で、かつ愛に満ちた「保奈美流」の人生の整え方に迫ります。

人生は何が起こるかわからない。できるうちに自分から動く

── 鈴木さんはここ数年のインタビューで「自分で動かずにいると、あっという間に人生が終わっちゃう」といったことをお話しされています。自分の人生の残り時間のようなものをなんとなく意識することはありますか?

 

鈴木保奈美
娘さんは3人とも成人に。「娘たちとバーで飲んだ。よくぞここまで生きて大きくなってくれました」と投稿したときの1枚

鈴木さん:残り時間という意識は特にないのですが、40代のころに、年上の女性の知人がご病気をされたんです。私はまたそのうち会えるだろうと思っていたのですが、その方が急に亡くなってしまって。「あの電話が最後だったなんて…」と呆然としました。「人って、こんなに急にいなくなっちゃうんだ」と痛感して、私にとってはかなりショックな出来事でした。

 

でも、この出来事だけではなく、年を重ねていろいろな経験をするうちに「人生はどんどん動いていく。何が起こるかわからない」と思うことが増えてきて。だから、できるうちにやりたいことに挑戦しなくては、と考えるようになりました。

 

── それが鈴木さんにとっては、たとえば舞台だった?

 

鈴木さん:そうですね。舞台は30代のときに一度出させていただいたんですが、当時はおもしろさがピンと来なかったこともあって、その後、出演する機会がなかったんです。でも、ドラマなどで共演する俳優さんには舞台出身の方が多いので、誘われて40代から舞台を観に行くようになって。いろいろ観たら、すごくおもしろかったんですよね。それで「私も出てみたい!」と。


 
ただ同時に「待っているだけじゃ、誰も呼んでくれない」とも感じたんです。私がいくらやりたいと思っていても、何もしなくてはお声がかからない。「どうすれば舞台に出られるんだろう?」というのはすごく考えました。本当に、イチからのスタートでしたから。

 

── たしかに、鈴木保奈美さんといえばドラマ、というイメージです。

 

鈴木さん:そうみたいですね。だから、撮影現場でお会いする俳優やスタッフの方に「舞台にはどうやったら出られるんですか?」と聞いてまわりました。「なんでそんなこと聞くんですか」って笑われたこともあります。それでも、「チャンスがあったらぜひ、私を使ってください」とお願いしてみたりして。もちろんそれだけで仕事が決まるわけじゃないのですが。少しずつでも自分から動いて、いろんな方とお会いするたびにお話しすることを積み重ねて、今に至ります。