中学時代のいじめ経験が起業マインドに

── 会社員を辞め、独立するときは周囲には反対されませんでしたか?

 

榎田さん:特にされませんでした。そればかりか、母は私が独立して当然と考えていました。というのも、母の父(私の祖父)は会社を経営していたんです。その会社はバブルのときに倒産してしまったのですが、母は幼いころから「既存のレールに乗るのではなく、自分の手で道を切り拓くべき」という価値観のなかで育ってきました。そのため、母には「あなたは大きくなったら、人に使われる人になるのではなく、自分で事業を立ち上げてトップに立ちなさい」と、私も言われ続けてきたんです。その言葉を聞いて育ったため、私も「いつか社長になるんだ」と当然のように思っていました。

 

母の教育方針はとてもユニークでした。中学生のとき、私はいじめにあったことがあるんです。すごくつらかったのですが、親にはなかなか言えなくて。思いつめて川に飛び込もうとしたことがありました。

 

でも、まさに飛び込もうとする瞬間、母に見つかって。「何やっているの!?」と聞かれ、「実はいじめられている」と、打ち明けました。すると母は、私がつらい思いをしたことも、親になかなか伝えられなかったことも認めてくれたうえで、こんなふうに言いました。「いじめる人と同じ目線に立ってはいけない。自分はトップに立つ人間だと考えたら、いじめてくる人なんて、取るにたらない存在よ。相手にしていられないでしょう?」と。

 

その言葉が印象に残ったんですね。その後、行動が変化しました。休み時間など、無視されても「私にとってこの時間は授業の復習の時間。ムダ話をしないぶん、勉強に充てられて都合がいいくらい」と思うようになったんです。ずっと勉強していたおかげで、成績もグンと上がりました。当時はつらかったけど、振り返ってみればいじめられた経験は、私のマインドを大きく変えるきっかけとなりました。