絶望を成功に変え、3度の倒産危機も乗り越えた今

── お母さんの教育方針は、榎田さんの人生の基盤を築いているのですね。

 

榎田さん:母は私にとって、メンター的な存在ですね。社会人として働き続けてからも、いろんなアドバイスをもらっています。大学卒業後、まったくの未経験だったのですが、アパレルのショップ店員として働き始めました。同期は読者モデルや服飾専門学校出身者など、おしゃれで華やかな人ばかり。アパレル未経験の私との差は大きくて。

 

どうしたらいいか母に相談すると「たしかに今の状況ではあなたは同期に負けているかもしれない。でも、出世したいのであれば上を見なさい。今いる環境のなかにいる、トップの存在を見て行動すべてをマネしたら、抜きん出た存在に必ずなれるから」と言われて。

 

その言葉どおりに、当時の上司だった店長の行動を模倣しました。店長の接客中のやりとりを覚え、帰宅後、入浴中に口調をマネするなどしていたんです。すると店長も、一生懸命ついてくる私のことをかわいがってくれて。親身になって仕事のアドバイスなどをしてくれました。おかげで半年後にはサブリーダーになり、さらに半年後には店長に昇格。その半年後には新店の立ち上げまでできるようになりました。

 

榎田あい
一時期は眠れないことで自律神経などもおかしくなっていたそう

── 素晴らしい躍進ですね。

 

榎田さん:いろんな人に支えてもらっているなあと思います。こうしてお店をオープンできるようになったのも、これまで出会った人たちから多くのことを学んだおかげです。

 

とはいえ、実際に会社を経営してみると山あり谷ありです。倒産の危機も3回くらいありました。最初うまくいって、ちょっと調子にのっていたところもあったんだと思います。絶対、倒産したくなくて、たくさんの人に頭を下げて、お金の融資もしてもらって。もうあんなにつらい思いはしたくありません。今は、一歩一歩堅実に歩んでいこうと思っています。現在フランチャイズ経営も含め、7店舗経営しています。

 

── 着実に土台を固めているのですね。

 

榎田さん:たくさんの人に健康になってもらいと願っています。気軽に足を運んでもらえるよう、全国にお店を展開していきたいです。そして、私についてきてくれるスタッフたちに感謝の気持ちを伝えたい。だから少しでもお給料を上げたいと考えています。そのために、今は踏ん張りどころです。

 

私が仕事に打ち込むのは、自分のためではありません。たくさんの人が健康になること、そしてスタッフに幸せになってもらうことが目的です。私が頑張ったら、みんなが笑顔になってくれると思うと、力がどんどんわいてくるんです。

 

取材・文:齋田多恵 写真:榎田あい