普通なら「キャリアの終盤」を意識し始める51歳。その年齢で、社会人デビューを果たした女性がいます。韓国ドラマの字幕監修者として活躍する花岡理恵さん。きっかけは「推し活」の延長で44歳で韓国語を習い始めたことでした。ハングルも読めない状態から、なぜプロに?「もう遅い」という年齢の呪縛を捨て、挑戦し続けた彼女が新しい人生の扉の先で見つけたものとは。

韓国ドラマの字幕に触れ「私のやりたいことだ」

花岡理恵
仕事仲間と韓国・ソウルへ

── 44歳、専業主婦だったころに韓国語を習い始め、51歳で韓国語の字幕監修者になるほどのレベルの語学を習得されました。字幕監修者になった経緯を教えてください。

 

花岡さん:もともと、韓国語を習い始めたのは好きな韓国人俳優がきっかけで、いつか韓国語を仕事にという意識はまったくなかったんです。

 

韓国語学校に通って5年が経ったころに韓国語字幕の講座があり、韓国ドラマ好きとしては字幕の世界をのぞいてみたくなって参加しました。有名な字幕翻訳者で西ヶ原字幕社の林原圭吾さんによる2回の講座で、字幕をつけてみる宿題が出たので挑戦してみると、ものすごく楽しかったんです。あまりに楽しくて、なぜか自分が字幕に呼ばれている気がしたんですよね。これが私のやりたいことかもしれない!と思いました。

 

── 韓国語を日本語字幕にする楽しさに目覚めたんですね。

 

花岡さん:その後、同じく西ヶ原字幕社が実施している12回講座のスクーリングで字幕についてもっと本格的に学べることを知りましたが、もう少し実力をつけてからでないと授業についていけないと考え、1年間猛勉強しました。それでも字幕を学べるレベルにはないと後ろ向きになる自分もいましたが、まず説明会で話だけでも聞いてみよう、申し込みだけでもしてみよう、と少しずつ自分を励まし、どうにか参加できることになりました。

 

参加者は、私以外はすでに字幕の仕事をされている方ばかり。素人が授業についていくだけで必死でしたが、韓国ドラマの字幕や吹き替えについて学べるだけで夢のよう。幸せでした。修了試験では韓国ドラマの吹き替え翻訳に挑戦したのですが、なんと1位に選んでいただきました。さらに林原さんから「一緒に仕事をしませんか?」と声をかけていただき、そこで初めて自分のしていることが仕事になるんだ!ということに気がついたんです。50歳のときでした。

 

── それが字幕監修者としての始まりだったんですね?

 

花岡さん:ただ、すぐに紹介できる仕事がないから、ほかに韓国語の翻訳会社があれば登録しても構わないですよ、と寛大にも言っていただいたんです。じゃあ、どんな求人があるかだけでも見てみようかな、と、一般的な仕事・バイト探しの求人情報サイトをのぞいてみたところ「韓国語の字幕監修者募集」と書いてある会社を見つけ、その日のうちに履歴書を書いて応募しました。それが、株式会社コンテンツセブンで、後で調べると自分が見てきた韓国ドラマを多数配給している会社だったということがわかりました。そんな知識もなく応募していたので、怖いもの知らずでしたよね。