念願のお墓参りはイメージとは違ったけれど
── その後、目標だったパク・ヨンハさんのお墓参りは実現したのでしょうか?
花岡さん:はい。SNSで知り合った韓国人の友達が来日した際に私の友人と3人で会う機会があり、「そろそろ実現しなくちゃだめだよ」とふたりに猛プッシュされました。そして具体的なスケジュールを一緒に考えてくれたおかげで2019年、53歳のときに韓国に行くことができました。
そのころには専業主婦を卒業して韓国語の字幕監修者の仕事をしていて自分の収入もありましたし、息子たちも上の子は社会人、下の子も大学生になり、子育てがひと段落していたタイミングでもありました。その後、世の中はコロナ禍に突入したので、あのときに思いきって行ってよかったです。
── 9年越しに、韓国語を始めた当初の目的を達成されたときはどんな気持ちでしたか?
花岡さん:私が抱いていたお墓参りのイメージでは、静寂のなかでヨンハに今までの感謝の気持ちを語りかけ、しんみりするつもりでいました。でも実際にお墓に着いてみると先客のファンの方がいらっしゃって、その方のお参りがなかなか終わらず…。思いきって声をかけると少し横へずれてくださったのですが、その場で電話をかけ始めて今度はその会話が延々と続き、あまり厳かなお墓参りではなくなりました。
その後、別のお墓にお参りしていた方たちから「誰のお墓なの?」と話しかけられ、一生懸命パク・ヨンハの説明をするなど、結果的に墓前でにぎやかな時間を過ごすことになりました。現地の方と韓国語で会話できた喜びもありましたし、にぎやかなお墓参りもきっとヨンハなら笑って見てくれているだろうなという実感がありました。
…
51歳で韓国語の字幕監修者となった花岡さんは現在、うつ病に苦しんでいたころに支えとなった韓国ドラマにかかわる仕事をすることになります。「パソコンの電源の位置すらわからない」など、50代での社会人デビューは大変なことも多かったそうです。
取材・文:富田夏子 写真:花岡理恵