劇歴30年を迎えられたのは周囲の支えあって

── 大好きなご家族を立て続けに亡くし、精神的に相当落ち込まれたと思います。
五十嵐さん:そうですね。父の死後は、闘病していた母が私の活躍を生きる力にしてくれていたので、がんばれている部分がありました。母の死後、ひとりぼっちになってしまって、あまりのショックにご飯が喉を通らず、仕事できないほど落ち込みました。私も、もう死んでしまおうかと考えたこともあります。
でも、それを察知した後輩たちがお金を出しあって、「これならば食べられるでしょう」とスープを送ってきてくれたり、会いにきてくれたりして、あのときは本当に吉本のメンバーに助けられました。仕事を辞めるか悩んでいる私を見て、無理やり舞台を手伝うよう連れ出してくれて、私たちが支えるから絶対辞めないでほしいと言ってくれたことも心の支えになりました。
── すごく素敵な後輩たちですね。
五十嵐さん:彼らがいなければ本当に生きていくことが難しかったと思います。ちょうどそのころに「吉本新喜劇総選挙」という人気投票イベントが行われることになったことも救いでした。お祭りのようなイベントなので、気持ち的にさすがにこれには出られないと思ったのですが、社員の方が「何かあったら自分たちがすべてカバーするから」と言ってくれて。後輩も「どんなに辛くても舞台に出てください!僕たちが支えるので!」と言ってくれたので、なんとか選挙活動をがんばって出ました。
結果、何百人もいる劇団員の中で12位に選ばれたんです。SNSにもたくさんの応援メッセージが届き、今まで目にすることのなかったファンの声にすごく心を打たれましたね。こんなに応援してくれる人がいるなら、もっとがんばって楽しんでもらおうという気持ちになれました。気づいたら芸歴30周年になっていて、今年はイベントもやらせてもらえることになりました。こんなにも長い間、お笑いの仕事を続けられてきたのは、応援し続けてくれた亡き家族や周りの人々のおかげだと思っています。
取材・文:酒井明子 写真:五十嵐サキ