喉に違和感「歌手をやめようか」悩んでいた過去

瀬川瑛子
私服も衣装のように素敵な瀬川さん

── 瀬川さんご自身も、73歳のときに手術を経験されたそうですね。

 

瀬川さん:そうなんです。それまで毎年、夫婦で胃と腸の検査を受けていたんですが、コロナ禍で1年だけ検査しなかったときがあったんです。翌年検査したら、医師から「がんとかそういうのではないと思うけど、1度きちんと調べたほうがいい」って言われて。調べたら十二指腸にポリープが見つかり、がん化したら困るから取ったほうがいいと。

 

当初は開腹手術をするように言われたんですけど、いつもなら外国に行かれている内視鏡手術の名医の先生がコロナで日本にいて、手術をしていただくことができました。本当にラッキーでした。

 

ただ、4月にポリープの内視鏡手術を受けて、同じ年の8月に急性胆管炎を患って手術。絶飲食になって1か月で10キロくらい痩せてしまって。体力が戻るまでずいぶん時間がかかりましたね。

 

── そして2022年には、歌手生命にかかわる喉の手術も経験されました。60代の半ばころから喉に違和感があったそうですが、どんな症状だったのでしょう。

 

瀬川さん:高音は出るのに低音だけがどうしても出にくいんです。『命くれない』のキーは、下の限界と上の限界の両方を使う歌なので、下が出ないからって上を上げるわけにもいかなくて。歌いだしの音が出ない。それが情けなくて、自分自身でも不愉快で…。下手くそな歌をこのままお客さまに聞いていただくのはどうなんだろうってさんざん悩みました。だましだまし歌っていましたが、お客さまに申し訳なくて、歌手をやめようかとまで思っていたんです。

 

── そんななかで、手術という選択肢が出てきたのはどんなきっかけだったのでしょう。

 

瀬川さん:病院を受診すると声帯に嚢胞があって、それが低音を邪魔していると医師から説明されました。「簡単な処置で取れますよ」と言われて光が見えたんですが、全身麻酔の話を聞いたら怖くなってしまって…。でも「納得いかない歌をこのまま歌うくらいならやってみよう」と思いきって受けることにしました。

 

── 術後は、声を取り戻すまでに時間がかかったと伺いました。

 

瀬川さん:まずしゃべれない状態が1か月近く続くんです。コミュニケーションはすべて筆談。その後、少しずつ「うー」って声を出す練習をして、5分、10分と伸ばしていきました。1か月ほどで会話ができるようになり、3か月くらいで「どんな歌も歌えますよ」とお墨付きをもらいました。

 

よく声帯の手術をすると「かわいい声になる」と聞いたことがあったので、スタッフに「どうですか?私の声、変わってますか?」と聞いたら、「前と同じです」と言われました(笑)。