今でも障害でよかったとは思わないけれど
── 監督をしながら大学院でスポーツ心理学の研究の道に進まれて、博士号を取得。その後は大学教員として働きながらYouTubeで車いすの生活を発信しはじめ、現在は会社を立ち上げてメディア運営事業や講演会など、精力的に活動していらっしゃいます。ご自身の力で新しい道を切り開かれていますが、車いすユーザーとして社会に伝えたいことはなんでしょうか。
中村さん:僕は19歳で事故に遭ってどん底を味わいました。今でも障害を負ってよかったとはまったく思っていませんが、自分の人生をひとつの物語として見ると、今の自分があるのはあの事故があったから。そう思うと、やっぱり意味のあるものだと感じています。人間誰しも、生きていたら本当につらいことがたくさんあるじゃないですか。そういうことがあっても、いつか笑って過ごせる日が来るんだよっていうことを、これからも社会に発信していきたいです。
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中村さんはその後、28歳で現在の妻と出会い、結婚を決意。どちらも子どもがほしいと考えていましたが、脊髄損傷の後遺症のため、不妊治療を選択せざるを得ない状況に…。つらい治療を経て2人のお子さんを授かった今は、彼らの成長をできるだけ長く見届けたいと思っているそうです。
取材・文:小新井知子 写真:中村珍晴