32歳で医師を目指し、7浪や留年などを経て21年越しに医師の夢を掴んだ新開貴子さん。医師になるまでに結婚・出産をし、3児の母と勉学を両立してきましたが、そんな母の背中を見て子どもたちはどう感じていたのでしょうか。
53歳で医師に「私も患者に救われている」

── 新開さんは短大卒業後に一般企業に就職したのち、臨床心理士を目指して26歳で島根大学教育学部に入学し、30歳で大学を卒業しました。その後、実家の薬局を手伝いながら精神科の病院で勤務すると、より患者さんに深く関わりたいと思い、32歳から医学部を目指すことを決意。7浪の末、40歳のときに合格しました。大学では留年、国家試験不合格もあり、医師になったのは53歳です。
現在は、総合診療内科で従事されていますが、苦節21年の末、医師になっていかがですか?
新開さん:医師になるまでは自分に自信がもてず、過去の出来事に振り回されたり、人の評価を気にしたり、ネガティブな面があったと思います。それが、この仕事に就いて変わりました。医療に貢献することで、自分の存在が感じられる瞬間がなによりうれしいです。私に救われている患者さんがいますが、私に医師という役割を果たさせてもらえているという意味で、私も患者さんに救われています。
── 53歳から医師になったことで、苦労はありましたか?
新開さん:最短で医師免許を取得する人たちと比べると、新しいことを理解したり記憶したりするときに年齢的な差が出ます。去年還暦になりましたが、若いころは教科書を1回読めば頭に入っていたのが、今は1回ではすぐに頭に入らないことがあるので、繰り返し読んで、時間をかけることでカバーしています。
また、ベテランの医師や看護師が私より年下になるので、はじめは接し方に戸惑うことがありました。ただ、気にしていても仕方がないので、年齢ではなく、自分のキャリアを磨いていくことを意識しています。