年齢を気にするより自分の役割をまっとうしたい
── 子育てをしながら受験勉強を継続し、8度目の受験チャレンジでついに愛知県の藤田医科大学に合格されます。そのときの気持ちをお聞かせください。
新開さん:長女が3歳、長男が1歳で、私が40歳になる直前でした。子育ても大変なので、5浪目以降は医学部受験を諦めなければいけないと悩む日が増えていたんです。多浪していると合格が不利という噂もきいていたので、今年ダメだったら諦めようと考えていました。
だから、39歳で藤田医科大学に合格したと知らせがあったときは、飛び上がって喜びました。倍率は20倍でした。私は北海道にいたのですが、知り合いが私の受験番号が載った掲示板の写真を送ってくれたんです。すぐに夫や母に報告して、喜び合いました。40歳の春に大学に入学した際は、夫を単身北海道に残し、子ども2人と大学の近くに引っ越しましたが、その後、夫が転職し、今は一緒に暮らしています。
医学部に合格して、やっと壁を乗り越えられた感動は忘れられません。今は医師になって7年経ちました。医師としてまだまだ勉強することも多いですし、うまくいかずに落ち込む日もあります。でも、患者さんが元気になっていく姿を見たときや、ご家族のホッとした顔を見るたびに、私自身もすごく救われたような、前向きな気持ちになります。
私は子どものころから自分に自信がなかったし、将来医師になることを諦めかけたときもありました。でも32歳で本格的に目指すころには、絶対医師になる!と強い気持ちで突き進んでいきました。途中で結婚・出産を挟み、医師になったのは53歳です。でも年齢を気にするよりも自分の役割をまっとうし、悲しみにくれている人に希望を与えたいという気持ちで今も医師として過ごしています。
取材・文:小山内麗香 写真:新開貴子