几帳面だった女性がゴミ屋敷になった訳
── 職種も含め、誰でもゴミ屋敷になる可能性があるなかで、石田さんが見たゴミ屋敷で、印象に残っているエピソードはありますか?
石田さん:2LDKのマンションに住む、30代の女性看護師の方の話です。当時はコロナ禍で患者さんが病院に押し寄せ、休む時間すらままならない状況だったそうです。ナースコールが鳴り続けて疲れきり、家に帰ったら起き上がる気力もない状態に追い込まれてしまったそうです。
自宅に伺ったときには、すでにゴミや物がいっぱいで、胸ぐらいの高さまで積みあがっていました。コンビニ弁当の空箱やデリバリーの容器が散乱するなかで、ブランド品もたくさん埋もれていたんです。要は、ストレス発散のために衝動買いが止まらなくなってしまった訳です。給料はほぼすべて高級な靴やカバンなどに使っていたようでした。
「いったい、何のために働いているのか」「このままでは自分が自分ではなくなる」と気づき、仕事を辞めて、ゴミ屋敷専門パートナーズに依頼をしたということでした。きれいになった部屋を見て、「これからは自分の時間を大事にしようと思います」と言っていました。
もともと彼女は几帳面な方だったようです。食器棚には食器がきれいに並べられていて、本棚も整頓されていたし、服もしっかりと畳んでしまってありました。それでも、きっかけがあるとゴミ屋敷化してしまうんです。