実家じまいでメンタルを崩した女性の不思議な体験

── ストレスや心の余裕のなさからゴミ屋敷化してしまったと。心のうちを誰にも言えないまま、気づけばゴミ屋敷化するケースも多そうです。
石田さん:珍しくないと思います。また、関東在住の40歳前後の女性からご依頼いただき、その方の実家に伺いました。両親が亡くなって空き家になった家の荷物やゴミを、ひとりでは片づけられないということでした。
僕たちが作業しているとき、彼女が突然「石田さん、握手してください」と言い出したんです。そして、「実は私、がんなんです」と打ち明けられました。作業中のスタッフ全員の手がとまりました。
その女性が言うには、生まれ育った家ですし、仕事が休みの日に実家に来て、思い出の品を仕分けしながらひとりで片づけるつもりだったそうです。けれども、かなりの量ですから、いつまでたっても片づかず、ネガティブになっていき、しまいには体調が悪くなって。これを機に病院に行くと、たまたまがんを発見。しかも、がんが最も進行した段階にあたる「ステージ4」だと判明したそう。もう死のうか、とも思っていたらしいんです。
── ご両親の他界に続き、自身の病気が発覚。精神的にもまいりそうです。
石田さん:そうですよね。そんなときにたまたま、僕たちの会社の動画を観てくれたようなんです。ゴミ屋敷専門パートナーズはYouTubeで和気あいあいとチームで片づけていく動画を上げています。動画を観て元気をもらったようで、自暴自棄にはなってはいけないと、改めて思い直したとおっしゃっていました。
「まだ死ぬのは早い。実家の荷物をきれいにしないと両親は成仏できないだろうし、それをするのが自分の使命だ」と思うようになったら、活力が沸いてきたと。そんな思いが、僕たちと一緒に片づけているなかでさらに実感できたそうで、握手の手を差し伸べてくれたようです。
さらに驚いたのですが、部屋がきれいになったことで、その後、彼女のがんが寛解したそうなんです。僕は医師ではありませんし、医学的な因果関係などはまったくわかりません。でも、彼女は僕たちから元気をもらったと感じてくれているようです。スタッフ一同、印象深い出来事です。