18歳で結婚・離婚を経験し夜の世界にデビュー

マダム信子
現在は洋菓子店「マダムシンコ」の創業者として活躍が続く

── そんななか、10代で結婚と離婚を経験されています。若くして結婚の道を選ばれたのは、なぜだったのでしょう。

 

マダム信子さん:父に言われるまま、18歳でお見合い結婚をしたんです。相手は裕福な方で、これまで苦労ばかりさせていた母をラクにさせてあげたい一心でした。でも、若かったこともあって結婚生活が窮屈で。結局、1年ほどで家を飛び出し、離婚。自分の意思のない行動で相手を傷つけてしまったことは、今でも申し訳なかったと思っています。

 

離婚後は実家に戻れず、うどん屋に住み込みで働きましたが、給料が安すぎて生活できない。そこから夜の世界にデビューしたら、すぐにナンバーワンになったんです。おしゃべりが好きなので性に合っていたんでしょうね。20歳のときには喫茶店兼スナックを出し、へんぴな場所なのに連日満員になるくらい流行りました。

 

── 夜の世界に飛び込み、すぐに頭角を現されたのですね。どんなところが「性に合っている」と感じましたか?

 

マダム信子さん:大家族で常に周りに気を配っていたので、人の表情や空気の変化には敏感でした。母の手伝いで大人と接することが多かったので、年上の人と話すのにも慣れていたんです。貧乏で苦労してきたぶん、お客さんの悩みやしんどさに寄り添える。飾らない素の自分で勝負できるのは「天職だな」と思いました。

 

貧乏生活だったのでハングリー精神も強かったんです。「もっと上を目指したい、自分の力を試したい」と思って、大阪の北新地のクラブでも働き始めました。そこでもナンバーワンになり、最終的には自分の店を経営するまでに。貴金属販売や不動産など、さまざまな事業を手掛け、30代後半には、ついに憧れだった銀座に進出。最終的にクラブのオーナーママとして働くようになりました。