成長を感じる子どもたちの発言

── 現在、上の息子さんは高校3年生、下の娘さんは高校2年生と、思春期を迎えていますよね。
西村さん:2人とも高校生ですけど、彼らは彼らなりに僕に気をつかっているんだなと思うこともあって。子どもたちの成長ぶりを感じて、父親としてはうれしくなります。そういうときには「今日こういうことがあったけど、あれは俺に気をつかってくれていたんだね。ありがとう」と伝えるんですけど、僕が普段あまり「ありがとう」と言わないから、向こうは最初「ん?」となって。
でも、その後に「僕たちはシングルで育ったから、気をつかえる子どもになったんだよ。シングルでよかったのはそこくらいかな」と言ってくるんですよ。僕としては「なにを偉そうに」と思ってカチンとくるんですけど、そういうところもかわいくて(笑)。日々の会話の中におもしろみがあるのがすごく楽しいですし、それも子育てをすることの醍醐味なのかなと思います。
── 息子さんは同性なのでわかり合える部分が多いと思いますが、年ごろの娘さんと向き合うときに難しさを感じたりすることはないですか?
西村さん:それはとくにないですね。僕と娘の間に息子がいて、娘が僕に直接言いにくいことは1回お兄ちゃんに投げて、お兄ちゃんから僕に伝えてくるとか、逆に娘の様子がおかしいときは「あいつ、どうした?」と息子に聞いたりしているので。だから、息子がいいクッション材になってくれています。
── 頼もしいお兄ちゃんですね。
西村さん:普通、年ごろになると、兄妹と言っても男と女なので、そこまで仲よくならないというか、ちょっと距離ができてもおかしくないと思うのですが、今も2人はギャーギャー言いながら仲よくやっています。僕が娘を叱ったときも、最終的に息子が娘のことをフォローしてくれているので、そこはすごく助かっていますね。
自分の道は自分で見つける自立のすすめ
── その息子さんが来年1月に18歳の新成人を迎えられます。今の思いを教えてください。
西村さん:法律上は成人になりますが、まだまだこれからですし、親子関係はずっと続いていくので、感慨深さというのはとくにないですね。ただ、独立精神みたいなものは植えつけないといけないなと思っています。
当り前のことですけど、子どもたちは最初、よちよち歩きじゃないですか。だから、親が手を貸して、いろいろやってあげないといけない。でも、それをずっと続けていると、何でも人に頼る子になってしまうので、僕は小学校にあがるときや高校生になるときなどの節目、節目に「ここからは、これは自分でやってくれないと困るよ」、「行きたい学校があるのなら、それは自分で見つけてこないとダメだよ」と伝えてきました。
もちろん、相談にはのりますが、自分が何をどうやりたいのかに自分で気づき、みずから行動を起こすのはとても大事なことだと思うんですよね。そうしないと彼らは進化しないし、僕も親として成長しないので。だから、息子たちには僕が18歳で実家を出て独立したので、「18歳というリミットがあるよ」と伝えています。そこで彼らがどういう決断を下すのかはわかりませんが、「自分がどう生きていくのかの方向性をちゃんと見定め、生活力を身につけていかないといけないよ」とは話しています。
── これまでのご自身の父親業を振り返って、反省点はありますか?
西村さん:反省しだしたらキリがないですよね。そのうえで過去の失敗をちゃんと受け止めて繰り返さないことが大事なのかなと。まあ、繰り返そうものなら、息子や娘から「それは前にも言ったよね」と総ツッコミが入りますから(笑)。なので、自分のことよりも子どもとの距離感をうまく取っていくことがいちばん大切なのかなと思います。
── それはご自身がシングルファーザーとして子育てしていくうちに、芽生えたものなのでしょうか?
西村さん:正直、そこはわからないです。ただ、僕のやっている仕事は、つねにコミュニケーションを求められるので、それが子どもたちと会話するときに役立ったことはあったかもしれません。そもそもの僕は頭が固い人間なので、そこのバージョンアップは必要だと思っています。それは子育てにおいても、仕事においても大切なことだと思うので、これからも精進していきたいと思います。
取材・文/馬場英美