この姿を見られるのは「僕だけの特権」

子どもたちが中学生のときから作り続けたお弁当

── 子どもが小さいときは、どうしても子ども中心の生活になりますよね。

 

西村さん:これはシングルに限ったことではないですが、子育てをするには、ある程度のルーティンを組む必要があるんですよね。朝は何時に起きて、何時に朝食を作り、子どもたちを何時までに送り出すか。しかも、子育てはノンストップ。だから、頼れる人がいるなら頼ったほうがいいと思いますし、パートナーがいる方は相手にグチを言いたくなるのは普通のことだと思います。

 

僕も自分のルーティンを子どもたちに崩されたときにイラっとしてしまうことは何度もありました。でも、自分がこうしたいと思っても、子どもがグズって言うことを聞いてくれないことはよくあるし、しかたがないこと。子どもがある程度、言葉を話せるようになるまでは、こっちが言うことは通じないし、子どもの言っていることもよくわからないので、コミュニケーションを取りづらいですからね。子育て中の方はそこに四六時中向き合いながら、子どもの面倒を見ているわけですよ。それは本当に大変なことで、僕は外で仕事をしているほうがよっぽど楽だと思いました。

 

── 子どもは何をするかわからないから、片ときも目を離せませんしね。

 

西村さん:本当にそうです。だから、今はそんなことを言う人は少ないのかもしれませんが、「私は外で仕事をしているんだ!」なんて言うのは論外。ちゃんと向き合わないと。

 

── 子どもが言うことを聞いてくれないときには、どうしていましたか?

 

西村さん:これは子どもがある程度コミュニケーションを取れる年齢になってからの話ですが、「子どもは褒めて伸ばす」という言葉がありますよね?でも、それは「叱らない」ということではないと思っていて。僕も子どもを褒めるのは大切だと思いますが、叱らずに褒めてばかりだと、子どもたちにとってはそれが当り前になってしまうので、やはり子どもを叱ることは大切だと思います。“叱咤激励”という言葉があるように、“叱咤”があるからこそ、“激励”に意味があると思うので、僕はちゃんと叱るようにしていました。ただ、そのバランスはすごく難しいですけどね。

 

── 西村さんが日々の生活の中で大切にされていたルーティンを1つ教えてください。

 

西村さん:今は子どもたちも高校生なのでやっていないですけど、小学校を卒業するまでは毎朝、姿が見えなくなるまで「いってらっしゃい!」と見送っていました。この瞬間を見届けられるのは「僕だけの特権」だと思って幸せをもらっていましたし、世のシングルファーザー、シングルマザーのみなさんにも「それができるのは、あなただけなんだよ」と伝えたい。

 

もちろん、シングルだからこその大変なこともたくさんありますが、そうやって気持ちを転換していくと、子どもとの時間をすごく濃厚に感じることができると思うんですよね。僕自身がそうでしたので、「僕だから、私だから、できるんだ」と思うことは大事なんじゃないかと思います。