芸能界は華やかであるいっぽう、究極に厳しい世界でもあります。フルーツポンチ・亘健太郎さんもそれを実感したひとり。20代でいきなり売れてからの急降下。家族もいる。お笑いでなければ仕事も得られる。でも…。甘味と苦味のある思いはいまも交錯しています。
仕事激減…大工仕事から始めて国家資格まで取得
── お笑い芸人のフルーツポンチとはんにゃがMCを務めた人気テレビ番組『ピラメキーノ』で一躍脚光を浴び、番組終了とともに徐々にテレビから姿を見かけなくなったフルーツポンチ・亘さん。現在は、芸人と電気工事士という二足のわらじを履いている状態とのことですが、なぜ電気工事士に?
亘さん:番組終了とともに、芸人としてのオファーが減っていき、収入も激減。女房と2人の子どもを食わせていかないといけなかったので、芸人1本ではやっていけないと判断し、知り合いの工務店でバイトを始めたんです。大工仕事ですね。自分は工業高校出身で工具を扱った経験もあったので、わりとすんなり仕事になじめました。当時は仕事もなく、お笑いの収入は8万円程度でしたから。ありがたい限りでした。
大工仕事の経験を重ねていくなかで、せっかくやっているんだったら、それにまつわる資格を取ったら芸人としての自分の話題づくりにつながるかもしれないって考えて。芸人にしろ、現場仕事にしろ、資格自体が今後生活していくうえで自分を助けてくれる可能性があるんじゃないかと思ったのが、「資格を取ろうかな」と思ったきっかけでした。「何で電気工事士なの?」というと、雇い主の工務店の社長が電気工事士の資格を持っていたんですけど、現場で配線工事をしているときに、「何で社長なのに現場出なきゃいけないんだよ(笑)」と、冗談半分で言っていたんですよ。
自分はその下で荷物持ちをしながらその話を聞き、「もし自分が電気工事士の資格を取得したら工務店にも貢献できるかも」と、思って。それに、工業高校時代に「電気工事士を取ったら食いっぱぐれない、みたいなことを聞いたことがあるな」「同級生も取得していたな」と、ふと思い出して。「俺でもできるかもしれない」と、資格へのチャレンジを決めました。

── 亘さんが持っているのは「第二種電気工事士」ですよね。一般住宅や小規模施設など電圧600V以下の設備に関する工事ができるようになる資格とのことですが、試験はどんな内容なんですか?
亘さん:筆記試験と実技試験があるんですけど、筆記のほうは暗記がメインかなと思います。「ある特定の条件の工事をするときにどんな工具が必要ですか?」みたいな問題ですね。工事にまつわる計算や法令に関する問題も出題されます。筆記試験に受かったら、半年後に実技試験。配線図を見ながら、実際に線をつないだり、組み立てていくような試験です。
── 難しそうですね…。勉強する時間はありましたか?
亘さん:本腰を入れて勉強を始めたのは試験の2、3か月前でした。仕事が終わったあとに勉強していましたね。もともと工業高校出身だったし、現場で働いて学んだ部分もあって、試験問題に対して「お手上げ」という感じではなかったです。ある程度、興味もあったし、知っている分野だったことも筆記試験合格につながったと思います。筆記試験が通ってからの実技試験までは、資格にまつわるYouTube動画をひたすら観て、勉強をしていました。