芸能界引退の理由「きっかけはコロナ禍」

── 現在、介護の仕事をされているとおっしゃっていましたが、コロナ禍で芸能界を引退されて介護士として働いています。なぜ芸能界を辞めようと思ったのですか。

 

岩佐さん:コロナ禍では、芸能界でもフリーになったり辞めたりした方が多かったですし、芸能界に限らず、多くの方が自分の人生を模索した時期だったと思います。私もコロナ禍でお仕事の先行きが不安になって、今後どうしていこうか悩みました。当時32歳で、まだほかのことにチャレンジできる年齢でもありましたし、思い悩んでも答えが出ることでもないので、一度これまでとは違う道を歩んでみるのはどうかと思いました。

 

── 潔いですね。未練はありませんでしたか。

 

岩佐さん:お芝居は本当に自分でやりたいと思えば、いくつになっても、どんな形でもできると思いました。二足のわらじで、ほかの仕事をしながら芸能の仕事ができるほど器用でもないと思ったので、思いきって辞めることにしたんです。

 

── ほかの仕事にチャレンジしてみようと思ったそうですが、数ある職種のなかから、なぜ介護の仕事に就いたのですか。

 

岩佐さん:芸能人で、飲食店の経営や、美容、アパレルなどの業界で働かれている方もいらっしゃいますが、自分としてはそのどれもが現実的ではありませんでした。どんな仕事がいいか考えていたときに、長年の友人で今、一緒に介護のイベントをしている西田(介護タレントの西田美歩さん)に相談したんです。西田は芸能と介護の仕事を両立しているのですが、「天職だと思えているし、真悠子も絶対に介護職に向いているよ!」と言われて。西田がそこまで言うならと、自分で履歴書を書いて、応募しました。

 

岩佐真悠子さんと西田美歩さん
長年の友人で、現在、介護イベントを一緒に開催している介護タレントの西田美歩さんと

── もともと介護の仕事に興味はあったのですか。

 

岩佐さん:働いてみようとまで思ったことはなかったのですが、亡くなった祖母への後悔はずっとありました。祖母は介護施設を転々としてお世話になっていたのですが、当時自分が忙しくてあまり会いに行けていなかったことをずっと悔やんでいて。

 

祖母が認知症になったあと、祖父ががんで亡くなったので、精神的な疲労が影響したのかなと思って勝手に「おばあちゃんのせいでおじいちゃんは死んじゃったんだ」という気持ちがありました。それに子どものころのイメージで、元気だったときの面影がないほど祖母がやせてしまったのもショックで。現実を受け入れたくなくて、足が遠のいていたのもあります。でも亡くなってからずっと「もっと会いに行けばよかった」とか「もっと自分にできることがあったのでは」という気持ちがありました。