ノートに書き出した自分の本音
── そこまで自信がなかった状態からどう変化していったのでしょうか?
いとみきさん:自信がないまま子どもを育てていくのがつらくなって、「変わらなくちゃ」と考え、ノートに「私はどうなったら幸せなのか」「そのためにはどうしたらいいのか」を書き出すようになりました。
そうしたら、「自信を持って外を歩ける理想の自分になりたい」という気持ちがあることに気がついて、考え方や生き方といった内面だけでなく、外見も磨いてみようと思うようになりました。母親自身が自分を肯定して自信を持って笑っていることが子どもの幸せにつながるのではとも思ったんです。そこからファッションや美容の本を読んだり、産後ダイエットに取り組みました。
── 実家にいたとはいえ、育児中で外見を磨くための時間やコストも限られていたと思います。工夫していたことはありますか?
いとみきさん:今できる範囲で何ができるだろうといつも考えていましたね。たとえばダイエットだったら、子どもを抱っこしながらとかドライヤーをしながらスクワットをしたり、息子が寝ついたら近くで逆立ちをしたりと、スキマ時間を活用していました。
失敗はつらい、でも挑戦なしには変われない
── 産後はファッション関係の仕事もされたそうですね。
いとみきさん:産後半年ごろ、子どもを食べさせていくために仕事をしなければと思い、子どもを保育園に預けながら地元の百貨店のアパレルで働くことにしました。働きながらファッションについても勉強したいと思ったんです。
50、60代の女性に向けたデザイナーズブランドのお店だったのですが、接客するなかでたくさんのことを学びました。おしゃれなお客さんはスタイリングひとつを見るにしても「この服にはこの形の靴がよく合う」という視点で見ていたり、「丈がちょっと違うだけでスタイルがよく見える」と言って何回も試着したり。似合うものを本気で選んでいらっしゃいました。おしゃれな人って向上心を持っているんですよね。
── 以前はおしゃれな人に対してひねくれた視点を持っていたとのことでしたが、とらえ方が変化したんでしょうか?
いとみきさん:はい。お客さんから似合わない服を買った失敗談を聞く機会もあり、みなさん自分に似合うものを選べるようになるまでたくさんの失敗を乗り越えてきたんだということがわかったんです。それに比べて、自分はおしゃれな人たちのことを批判するだけで挑戦していなかったと反省しました。失敗はつらいかもしれないけれど、挑戦しなくては変われないんだと感じました。

── 身をもって体感したんですね。
いとみきさん:アパレルで働いたことだけでなく、プロのスタイリストの方の講座でファッションを勉強したことも大きかったと思います。働き始めたタイミングに、子どもが寝た後や出勤する前の時間を使って副業としてライブ配信も始めたんですが、その配信で貯めたお金を使って受講を始めました。
その講座では服の組み合わせ方や色合わせの知識を学んだり、全身コーディネートの写真を撮って参加者で批評し合う課題を通して、自分を客観的に見る視点を身につけました。その視点は、ライブ配信の中でも知見が積み重ねられたと思います。
── ライブ配信でですか?
いとみきさん:自分で「今日はビジュアルがいい」「メイクが盛れた」と思うときは、視聴者のみなさんからの反応もいいんですよ。そんな日は具体的にメイクや服装などどこがよかったのか考えるようにしていました。素敵な配信者の人と比較して、自分にたりない要素も分析していました。そうすると、メイクの色味や髪型の違いとか、素敵な人との差にどんどん気づけるようになるんですよ。配信じゃなくても、毎日自分の顔を鏡で見て分析するだけで、そういう視点は身につくんじゃないかと思います。