8回目の司法試験で合格「これ以上は無理と思うほど勉強した」
── 10年間かけて合格されたそうですが、勉強をし続けるモチベーションはどのようにして保っていましたか?
三輪さん:モチベーションというよりも、自分にとっては、司法試験に受かるか、野垂れ死にするかのどちらかしかなかったので。そうやって私が司法試験の勉強をしている間に、周りは結婚して子どもが生まれたり、起業して成功している人もいましたけど…。

── そういう状況だと、周りからおいていかれたような気持ちになってしまいそうです。
三輪さん:そうですね。2002年に大学を卒業して、2007年に立命館のロースクールに入学したのですが、その間は働いておらず、無職でしたし。だけど、試験に不合格だったからといって知識がゼロになるわけではないし、勉強したぶんだけの貯金はできる。司法試験は合格に必要な知識量が半端ないので、それを1年後の試験でどれだけ積み上げていけるか。知識があるのは当たり前で、それがあっても落ちるときは落ちるんです。
── それほどの難関試験で、不合格だったときはどのように気持ちを切り替えるのですか?
三輪さん:気持ちの切り替えはすぐにはできなかったけれど、嘆いていても受からないですから。でも、「まだ本気を出していないな」って自覚しているうちは受からなかった。最後に受かった年は、「もうこれ以上の勉強は無理だ」って思いましたから。
── お話をお聞きしていると、並大抵の努力では、勉強は続けられないと思いました。
三輪さん:司法試験って、ずっと同じ母集団が受験して受かった上の層がいなくなって、次に自分の番が来るような試験ではないんです。常に新しい賢い人たちが受けに来て、その人たちがライバルになっていく。合格者の枠に入る力がたりなかったときは、その事実を受け入れるしかない。反省することは大事だけれど、何がたりないのかを必死で分析をしてそれを埋めるしかない、というか。周りから教えられることではなく、自分で納得できるまでやるしかないんですよね。
── 周りから見るとつらそうに見える試験勉強ですが、三輪さんにとってはいい経験になったということでしょうか。
三輪さん:頑張ることに意味があるとは思います。でも、頑張らない人を責めるのも違うと思っていて。私だって20代のころは、1ミリも頑張っていなかったんですから…。それに、私は最終的に合格したけれど、撤退する勇気を持つことも大事です。目標に向かって頑張って、やめる人生も悪くない。それよりも「ここまでやったらやめても後悔しない」って思えるまで頑張るかどうかが大事だなと。今は受かったから言えることですけど、簡単に合格しなくてよかったです。早く受かっていたら、すごくイヤな奴になっていたと思いますから(笑)。だからこそ、不合格という経験も悪いことではなくて、結果をしっかり受け入れることが大事だと思います。