いざというときに自分の身が守れるように

── 公園づくりに携わりながら、防災士として講演活動などをしているとうかがいました。砂場は災害時にも活用できるそうですね。

 

どろだんご先生:砂場の上に簡易トイレを置いたり、かまどを作ったりすることができます。芝生の上だと芝が燃えてしまうこともあるので、火を使うならば砂のほうが適しています。私は、キャンプインストラクターの資格を持っていてプライベートでキャンプをすることも好きなのですが、砂の上にはテントを張ることもできますし、防災とキャンプと公園づくりは近いものがあると感じています。

 

もともと医療法人で働いていたことや、日本赤十字社の救急法の指導員の資格を持っていることもあり、東日本大震災の際にボランティアに行きました。その経験から、備えの大切さを目の当たりにして防災士としての活動も始めました。ゆくゆくは災害時に避難場所として機能し、普段は遊び場や憩いの場として地域に親しまれる防災公園づくりにも携わりたいと思っています。

 

── 防災への意識として、特にお子さんがいらっしゃる家庭に伝えたいことはありますか。

 

どろだんご先生:ぜひお子さん自身で防災への備えをしてほしいです。講演などでも、子どもに自分の防災バッグの中身を詰めてもらうことをお勧めしているのですが、避難後に自分が遊びたいものをひとつでいいのでぜひ入れてほしいです。どうしても着替えや食べ物を先に考えてしまいがちですが、避難後の環境を想像してほしいです。充電式のゲームよりカードゲームや塗り絵のほうがいいかなというように、災害時にもできる遊びを考えることが大切です。あまり大きなものは入れられませんし、自分で用意すれば「あれがない、これがない」といった文句も出てきません。ぜひお父さんやお母さんも、非日常のなかでも心が休まるような、自分のご機嫌をとれるグッズを入れてください。

 

定期的に学校などで行っている訓練も毎回同じ想定ではなく、違ったシチュエーションでやってみるべきだと思っています。お父さんが職場にいて、お母さんも家におらず、子どもだけで被災したらどうするかなど、あらゆることを想定すべきです。

 

── 子どもだけで被害に遭ったことを想定して、どのようなことをしたらいいのでしょうか。

 

どろだんご先生:送迎バスで子どもの置き去り事故が相次いだ際に、子どもが運転席でクラクションを鳴らす訓練をした園が多かったと思います。閉じ込められてしまった場合に周囲に助けを求めるには、何を使ったらどれくらいの音が外に聞こえるかなども実際にやってみていただきたいです。子どもは音を出すという発想がないと、いざというときも行動に移せません。

 

公園の使い方ひとつとってもそうですが、小さいころから「あれはダメ、これはダメ」と禁止事項が多い環境で育っているので、実際にやってみたことがないものをなかなか行動に移せないお子さんが多いと感じています。日本全国、いつどこでも災害は起こり得ますので、いざというときに自分の命を守ることができるよう、備えの大切さを伝え続けていきたいと思っています。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/どろだんご先生