産後に襲われたプレッシャーや孤独感に悩み

松丸友紀
結婚11年目になる松丸さん

── 新田さんは育児にも積極的にかかわってくれるのですね。

 

松丸さん:時間が許す限りは。ただ、レースで月の半分ぐらいは地方に行ってしまうので、その間はワンオペ育児です。出産直後は、振り返ると産後うつのような状態で、本当にしんどかったです。最初は授乳がうまくいかないし、ミルクの作り方もよくわからなくて…。病院で助産師さんに聞いたら、「お母さんになったんだから、それぐらい自分で調べなさい」と言われてしまい、産後のホルモンの乱れもあって「ミルクすら作れないダメな母親だ」と自分を責めてしまい、入院中は毎日泣いていました。

 

── それはつらかったですね。当時はまだ男性の育休は浸透していないですし、地方遠征の多いアスリートはなおさら、一緒に育児することは難しいと思います。産後退院して、どんな生活を送っていたのでしょうか。

 

松丸さん:産後3か月ぐらいは、母子で大海原に放り投げられたような日々でした。夫がレースで地方に行く際は、玄関に向かう夫にしがみついて「行かないで!」と泣くことも。わが子がいとおしいからこそ、命を守るプレッシャーが大きかったです。また、人と接するアナウンサーの仕事から産休中から離れていたので、孤独に襲われました。自分の気持ちをコントロールできず、クローゼットの奥にスマホを投げ込んだことが幾度となくあって…。夫はもどかしかったと思います。

 

── うつ状態から脱したのは、ご家族の支えもあったからなのですね。

 

松丸さん:そうですね。ただ、決定的なきっかけは、息子と散歩中に偶然、職場の後輩に会ったことです。彼女も同じようなタイミングで出産していたこともあり、育児の悩みやグチをお互いに吐き出し、やがて公園やカフェに一緒に出かけるようになって、劇的に改善しました。やはり同じ悩みを持つ者同士で話したり、外に出かけてみることがいちばんですね。