フリーアナウンサーとして活躍する松丸友紀さん。2017年に待望の第1子を出産しますが、授乳がうまくいかない自分を責めたり、孤独で感情がコントロールできなくなったり…しばらく産後うつのような症状に苦しんだと言います。(全2回中の2回)

もともと無口だった夫は私に似て口達者に

松丸友紀
現在は小学2年生の息子の母である松丸さん

── フリーアナウンサーとして活躍する松丸さん。テレビ東京の『ゴッドタン』では「マツケンサンバ」や、芸人のコロッケさんの鉄板ネタ「五木ロボ」のモノマネを披露し、そのクオリティの高さで男女問わずファンが増えた印象があります。

 

私生活では2014年に競輪選手の新田康仁さんと結婚されています。新田さんは、2022年には通算500勝の記録を達成し、日本を代表する選手のおひとりです。おふたりの結婚生活がなかなか想像できないのですが、そもそもどのように出会われたのですか?

 

松丸さん:テレビ東京に勤務していたときに不定期で競輪のレースを中継する番組のMCをしていたのですが、2008年に番組で夫を取材したのが出会いのきっかけです。共通の友人を介した食事会で数年後に再会し、2014年に結婚しました。

 

── 結婚の決め手は何だったのでしょうか。

 

松丸さん:3つあって、1つ目は一緒にいて自然体でいられたこと。2つ目は嫌なことが一致していたこと。たとえばクチャクチャ音を立てて食事をする人がお互い苦手なんですが、生活を共にすると小さな不快も積み重なると大きな歪みになると思うんです。趣味が合うより嫌なことが一致していることのほうが大切な気がします。3つ目は話し合いがしっかりできること。困難を一緒に乗り越えるためにも大切なことなので、はぐらかしたり、お互い我慢するのではなく、考えをとことん伝え合える関係でいたいと思っています。

 

── おふたりとも思っていることは言葉にしやすいタイプですか? 

 

松丸さん:ふたりとも結婚前から大事な話はしていましたが、夫はもともと無口で言葉で表現するのが得意ではありませんでした。いっぽう、私は言いたいことは溜めず、すぐに話をするタイプ。とくに結婚して子どもを出産したばかりのころは、私のメンタルが不安定になったこともあって、つい感情的に話してしまってケンカが増えた時期がありました。でも、ケンカはケンカでお互いの思いをぶつけ合う場だとポジティブにとらえてもいるんです。それが夫婦円満の秘訣かな。夫はもともと無口だったはずですが、結婚してからは口が達者になって、私に似てきました。

 

── 今までたくさんの話し合いを重ねて、絆を深めていかれたんですね。結婚生活のなかで、育児などのほかにもじっくり話し合うようなできごとはありましたか?

 

松丸さん:レース中に夫が大ケガをしたときですね。挙式して2か月後の幸せの絶頂期からのどん底!恥骨結合離開という、骨盤の骨を折る大ケガで、一時は歩けなくなりました。危険と隣合わせの仕事だと理解していたつもりでしたが、歩けない夫を目の当たりにしたら、改めて恐怖を感じ、私は引退してほかの仕事に就くことも提案するなど、お互いの思いを話し合いました。

 

── 命の危険も伴うお仕事ですものね。そこから復帰されたのは、新田さんの意志が強かったのでしょうか。

 

松丸さん:そうですね。夫は、最初は落ち込んでいましたが、自転車が好きという気持ちを再確認したようで「絶対に復帰したい!」と言われました。アスリートとしての体に戻すのは並大抵の努力ではできません。改めて夫のメンタル、生命力の強さに驚きました。

 

このケガ以降、お互いちょっとのトラブルでは動じなくなりましたね。現在、夫は51歳ですが、現役の最年長選手としてギネスブックに載るのが夢だそうです。60代で活躍する選手はいらっしゃるので、その方たちを超えられるよう日々励んでいます。

 

── 新田さんのレースを観に行くこともあるのでしょうか。

 

松丸さん:落車が怖くて、リアルタイムでは観られないんです。レース中は可能な限り手を合わせて無事を祈り、時間をおいてダイジェスト版の動画を観ています。ただ、息子が5歳のときに「お父さんのレースを観たい」と言われ、1回だけ関係者席から見ました。そのときは息子が一生懸命応援してくれて、なんと1位!家族にとってよい思い出です。

 

── ご家族の応援が力になったのかもしれませんね。子育てを通して、夫婦関係はどのように変わってきましたか。

 

松丸さん:恋人からソウルメイトのような関係に変わりました。子育てのことを相談することも多く、今では小学2年生の息子への「推し活」に夫婦で励んでいます。先日も、おしゃべりを始めた2歳ころの息子の動画を観て盛り上がりました。子どもを預けて夫婦2人でデートするという話も聞きますが、私たち夫婦は息子も含めて3人でいたいです。