デートをドタキャン、面と向かって「顔が気持ち悪い」発言…38歳からの3年間、モラハラ彼氏とつき合い自尊心を削られたというフリーアナウンサーの住吉美紀さん。このほど上梓したエッセイ『50歳の棚卸し』(講談社)では、その当時の思いがストレートにつづられています。自分に再び自信が持てるようになったきっかけは、初恋の彼との温かな再会でした。(全3回中の1回)
「この人を逃すともう他にいないかも」からが地獄だった
── 38歳のころから婚活を始めた住吉さんですが、いつも待ち合わせに1時間以上遅れてきたり、「顔が気持ち悪い」と言ってきたり…という、いわゆる「モラハラ彼氏」とつき合ったご経験を新刊の中で明かされています。なぜおつき合いすることになったんでしょうか?

住吉さん:37歳でNHKを退職してフリーランスになってから孤独を感じ、「結婚したい、できれば子どもがほしい」という思いがすごく強くなっていて。思い立ったらすぐに行動するタイプなので、「仲よくなれそうな方、いらっしゃらないかしら」と、あらゆる場面で探すようになりました。ただ、自分がまず年齢を重ねていたので、「素敵だな」と思える方のほとんどは既婚者だったんですね。そもそも相手になりうる人がすごく希少なんだ、と徐々に気づき始めたんです。そんななか、たまたま出会ったのがその彼でした。
── どういうふうにおつき合いが始まったんですか。
住吉さん:とある食事会で知り合って、その後ふたりで食事に行くことになりました。当時、私は「なかなか相手が見つからない」と強く感じて焦っていたので、「この人を逃すともうほかにいないかも」と思い込んでしまっていたんです。もちろん素敵な面もたくさんあったので、「一緒に人生を歩んだら楽しいかも」と想像したりもして。相手も結婚願望があるようだったので「もう少し頑張れば、結婚も…」と思っちゃって。
でも、今思えば、恋愛って頑張ってするものじゃないですよね。当時は友人からも心配されたんですが、その声はまったく耳に入りませんでした。結婚という目標に向かって、一生懸命ひた走っていたんです。仕事と同じで、タスクのように頑張ってしまっていたのかもしれません。
── 彼のモラハラ的な言動は、つき合い当初からあったんですか?
住吉さん:徐々に増えていった感じですかね。ただ、そもそもつき合い始めた当初から「関係づくりがなかなかスムーズに進まないな」とは思っていました。週末一緒にご飯を食べても、帰り際は「じゃあまた。次にいつ会えるかはわからないんで」と、なんだかつれなくて…。恋愛初期って盛り上がって「つい時間を忘れて長電話しちゃった」となったりするじゃないですか。だから、「あれ?」と肩透かしを食う感じでした。今思えば、最初から彼はあまり私に気のりしていなかったんだな…と。私が好みだったわけではなく、条件面だけ見れば、結婚相手の候補になり得る人と割り振られただけだったのかな、と今は理解しています。
── 住吉さんとしては、相手は好みのタイプだったんですか?
住吉さん:うーん…。当時は、好みとかもあんまり意識しなくなっていたかもしれません。女性って、「話が合うな」と思えば、繰り返し会ううちに情がわいて好きになれるかも?と思えるじゃないですか。いっぽうで男性は、本能的に好みのタイプじゃないとダメな人が多いのかなと。もちろん、人によるでしょうけれど。