どんなに忙しくても「絶対やると決めていたこと」

── お子さんが多感な時期に、気をつけていたことはありましたか?

 

入江のぶこ
東京都議会議員として入学式に出席した際の1枚

入江さん:子どもたちにとっては、父親が事故死により不意にいなくなり、住み慣れた海外での暮らしが突然終わりを迎えたことは、とても理不尽な出来事だったと思います。思春期に荒れてしまうのではないかという思いがつねにあったので、家族3人きりになってからは、息子たちと過ごす時間を何よりも大事にしようと心に決めました。特に長男は、夫が亡くなったとき6歳で、知らない子ばかりの私立小学校に入学することになり、環境に慣れるまで大変だったんです。それがわかっていたので、長男とふたりで毎晩、絵本を読んだり会話をしたり、一生懸命コミュニケーションの時間をつくりました。男子だけに、中学や高校のころは、まったく目を合わせてくれない、口もきいてくれないような時期はありましたけど。

 

── 成長に伴って親の悩みは変わっていきますよね。

 

入江さん:幼少期の大変さはあっという間に過ぎ去りますが、中学生や高校生くらいからはまた別の難しさがありますね。子ども自身のスケジュールも忙しくなるから、親と意見のぶつかり合いが増えたりして。そういうときには、『Netflix』などでドラマを一緒に観たりしながらでもいいので、寄り添って話をする時間を5分でもつくることが大事だと思います。

 

── そういった時間は意識しないとつくれないですよね。勉強面では、どれくらいサポートされていましたか?

 

入江さん:成績は必ず私に見せるように言っていました。今でも「成績チェックが厳しかった」と言われますね(笑)。でも、それはあくまで、「放置していないこと、ちゃんと関心を持っていること」を伝えるため。たとえ模試の成績が下がったとしても、頭ごなしに叱るのではなく、どうして下がったのかを一緒に分析する。「何が起きても、お母さんはあなたの味方だから」という姿勢を示してあげるのが愛情だと思っています。子どもの食べたいものを頑張って作ってあげたり、行きたい場所に一緒に行ったりして、親が関わる思い出を増やしていけるといいですよね。

 

── 子どもたちが安心して頑張れる、環境づくりが大事なのですね。

 

入江さん:息子から言われて今も忘れられないのは、「母親が死ぬほど頑張って働いている姿を見て、自分たちもしっかりしなきゃいけないと思った」という言葉。私の仕事と家事をうまく回すために、子どもたちの放課後には塾やお稽古のスケジュールをがっちり入れていたという事情もあったのですが、息子は「おかげで自分の管理能力が上がった」って前向きにとらえてくれました。そのいっぽうで、ゲームをしているときに横に座って「何のゲーム?」とさりげなく聞かれたり、勉強を頑張っていることをサラッと褒められたりしたことが印象に残っていて、うれしかったそうです。