「体操のシーンは42秒」
── 番組でストレッチを教える立場として、見せ方で工夫していたことなどはありますか。
宇仁菅さん:テレビでストレッチの方法を教えるので、右手や左手という表現では伝わりにくいです。自分があげているほうをこちらの手、反対をもう片方の手という視覚に訴える表現に変えたり、うまく比喩を使ったりしてきました。たとえば、腰をかがめて丸めるという表現は、ダンゴムシやボールになってみようというふうに変えたほうがわかりやすいですね。どうしたら子どもたちに伝わりやすいかを第一に考え、体操中のセリフや見せ方は、専門家の方と試行錯誤しながらやってきました。体操のシーンは42秒なのですが、この枠に収まるよう、打ち合わせは時間を割いて入念にしてきました。

── ストレッチマンを演じながらほかの仕事もされていたと思います。
宇仁菅さん:ドラマに出る際は、犯人役になることはあっても極悪人は受けませんでした。やはりヒーローを演じている以上、イメージ作りも大事なのかなと。ほかの現場に行くと、制作のスタッフさんや監督からストレッチマンの話題をきっかけに話が弾むことも多くなって、話題作りという面で影響がありました。30代になって、街ですれ違いざまに子ども連れの方から気づいてもらえることも増えましたし、ストレッチマンの衣装を着ていなくても、梅田で飲み会中に気づかれることもありました(笑)。そのときはちょっと気まずかったですね。
── 長寿番組となっているストレッチマンですが、キャラクターに変化はあったのですか。
宇仁菅さん:昔はコロコロ変わっていたと思います。現在は東京のNHKで制作していますが、当時は大阪のNHKで制作していた番組で、在阪のベテランディレクターと東京から異動してこられた新人ディレクターが交互に台本を書かれていました。作風によってキャラクターがいろんな方向性に転じていたのが功を奏して、最終的にいろんな側面を持つキャラクターに仕上がっていったんだと思います。学校教育について真面目な回もあれば、ダジャレやお笑いの要素が強い回もありましたし、パロディも多かったですね。
── 特に印象に残っている放送回はありますか。
宇仁菅さん:当時、流行していた韓流ドラマ、『冬のソナタ』のパロディで、恋愛のストーリーを反映させて怪人がストレッチマンに惚れるという回や、アクション映画『マトリックス』のパロディで怪人の攻撃をストレッチで身につけた柔軟性で避けるものなどもありました。川柳を急に読み出したり、トイレから登場したり…。今思えば毎回違う要素がたくさんあっておもしろかったです。