1994年からEテレでストレッチマン役を演じる俳優の宇仁菅真さん。当初、全身タイツの奇抜なキャラクターへのさまざまな意見があったそう。試行錯誤した番組制作の裏側とは。(全2回中の1回)
「体、硬いのに大丈夫ですか?」と初めは心配され
── 俳優としてキャリアをスタートさせた宇仁菅さんが、ストレッチマンに抜擢されたきっかけはオーディションだったそうですね。
宇仁菅さん:23歳で劇団に入って、主に舞台やテレビドラマなどで仕事をしていました。NHK教育テレビ(現:Eテレ)の番組改編にあたって1994年4月から『グルグルパックン』という番組が始まるので、登場人物のオーディションが開催されることを知り応募しました。200人以上応募者がいたと思いますが、そこでストレッチマンの役をいただきました。今から31年前のことです。

── その後、『グルグルパックン』のコーナーのひとつだった『ストレッチマン』が独立して1999年から番組がスタートしました。子ども向けの番組でストレッチを教える役ですが、これまで経験はありましたか。
宇仁菅さん:運動に関しては、もともと野球をしていてスポーツは好きなのですが、柔軟性には自信がなく、体は硬かったんです。「体、硬いのに大丈夫?」と周りから心配されたほどでした。でも、長年ストレッチをし続けていたおかげで、すっかり体が柔らかくなりました。自分自身でストレッチの効果を実感しています。
── 今でこそ見慣れている感じはありますが、当初、全身タイツの奇抜な衣装に抵抗はありませんでしたか。
宇仁菅さん:周りからは「よくこれ着られたね」と思われていたかもしれないのですが(笑)。子ども向けのミュージカルには出たことがあったものの、子ども向けの番組に出るのはこれが初めてで。とにかくまだ若くてやる気だけがあったころだったので、衣装はまったく気になりませんでした。
現在は特別支援学校といいますが、当時の養護学校で障がいがある子どもたちが、自分の体がどんな状態であるかを知って、無理をしたり、ケガをしたりしないようにするためにストレッチをするというのが番組のコンセプトです。今でこそストレッチマンのキャラクターが定着していますが、奇抜なキャラクターに対して、当時は「教育テレビ(現:Eテレ)の番組だと思わなかった」とか「NHK、何を始めるんだ」というような意見があったと伺いました。でも、「この番組はいったいなんなんだ?」という、どこか気になるという理由から観ていただけて、実際に番組をご覧になれば番組の趣旨や目的がわかってもらえたように思います。