抗がん剤治療中にまさかの9キロ体重増

── それは複雑な気持ちになるかもしれません…。とはいえ、何事もなくてよかったです。抗がん剤治療は、副作用などがつらいイメージがありますが、ノビさんはいかがでしたか?

 

ノビさん:それが、全然大丈夫で(笑)。治療している実感がないくらいでした。なんなら、抗がん剤治療中に9キロ太ったんですよ。学生時代にラグビーを11年やっていたのですが、トレーニングの一環でたくさん食べる習慣が染みついていて。めちゃくちゃ食べてました。看護師さんは「栄養は点滴で入れているので、食事は自分のペースでいいですよ」って言ってくれるんですが、あまりにも食べるから逆に心配されて(笑)。

 

ひとまずは、1回目の抗がん剤治療が終わったあとは副作用もなく「なんだ、こんなもんか」と拍子抜けした感じでしたね。ただ、副作用がないというのは抗がん剤が効いてないということらしくて…。そうなると、2回目以降の薬を強くしていく必要があり、それがしんどいと聞いて少し不安になりました。

 

ノビ山本
2クール目の抗がん剤治療で毛が抜け始めたころ

── 副作用がなさすぎるのもよくないんですか。

 

ノビさん:そうらしいです。なので、2回目の抗がん剤治療で脱毛の症状が出て「あ、効いてる。よかった」と安心しました。脱毛が始まってからシャワーを浴びたら一気に抜けていって…ショックがなかったと言えば嘘になります。でも、髪を伸ばしていたわけでもなかったですし、見た目は大きくは変わらないので、むしろおもしろがってやろうと思っていました。それ以外の副作用は特に感じなかったのですが、1回だけ食後にゲップと同時に全部上がってきて、トイレで吐いて。「意識してなかっただけで身体はしんどかったんかな」と思ったりしましたね。でも、それもそのときだけで、医師にも珍しいって言われました。

 

そんな感じで、ありがたいことに重い副作用はなかったのですが、尿は残らず採取しなきゃいけないのはけっこう大変でした。抗がん剤って、身体の中で常に循環させてがん細胞に働きかけるので、水分を細かく管理されるんです。だから、どれだけ入ってどれだけ出たっていう記録をつける必要があって。尿意を催すたびに紙コップに採尿してそれを看護師さんを呼んで持っていってもらうんですが、忙しい看護師さんをたびたび呼び出すことになり、申し訳ない気持ちが大きかったです。