「富山県住みます芸人」として活動するなか、ひょんなことから足に腫瘍が見つかり「粘液型脂肪肉腫」という珍しいがんと診断されたノビ山本さん。切除手術に向けて抗がん剤治療がスタートしたものの、なぜか体重が9キロも増え、逆に不安が募ったそうです。(全3回中の2回)

まさかのがん発覚も「やることやらんと」と笑顔で

──「富山県住みます芸人」として地元・富山で活動するなか、フルマラソン企画の練習中にひざ裏が腫れていると指摘されたそうですね。その後、検査でその腫れが悪性腫瘍とわかり、がんの治療をひと通り受けられたと聞いています。

 

ノビ山本
「富山県住みます芸人」として活動しているノビ山本さん。地元のラジオにもレギュラー出演中

ノビさん:そうです。でも、「やれることやらんと」と思って、あまり落ち込んだりはしなかったです。「よくそんなに笑顔でいられるね」と周りの人からも言われたのですが、やらないと進まないし、つらくても治療しないと、人生が止まったまんまだと思っていたので。

 

── そんなふうに気持ちを切り替えられるとはすごいです。どんなふうに治療が進んでいったのでしょうか。

 

ノビさん:腫瘍の切除手術の事前準備として、まずは抗がん剤治療をすることになったのですが、いきなり想定外の経験をしました。抗がん剤って、胸のあたりに「ポート」という血管への入り口みたいなものを作って、そこから入れるんです。その際、心臓の静脈にポートの先のカテーテルを通すのですが、部分麻酔での手術だったので、先生たちの会話がなんとなく聞こえてきて。

 

先生がエコーを見ながらカテーテルを通す場所を探していたら、ドアが開いて別の先生が入ってきて「よし、今日は新記録出そう」と言うんです。「なんか怖いな…」と思いながら会話を聞いていたら、エコーを見ている先生に対して「どこからアプローチすんの、もっといいところあるでしょ。そこにするの?俺だったらこうするけどな」と。そんなやりとりが聞こえてきて、「先生、めっちゃ圧かけられてる…」って心配になっちゃって。「早くしないと!何分以内にやんないとダメだぞ。今なら代われるけど、代わる?」「いや、自分がやります」とやりとりが続くなか、無事にカテーテルが通ったようで、「よくやった。これできればもうなんでも行けるから」で会話が終わったという(笑)。僕が入院していたのは大学病院なので、手術は教育の場でもあって、僕を担当したのは研修医だったんだなとあとで気づいたんですけど…。