水分補給は「汗で奪われた成分を補う」

── 水分補給の大切さはみなさん認識されていると思うのですが、日本人は通年でお茶を飲む習慣があると思います。熱中症予防にはスポーツドリンクのほうがいいのでしょうか?

 

長谷川さん:基本的に、汗をかいている場合は「汗で奪われた成分を補う」と覚えておいていただけたらと思います。屋外で汗をかきながらスポーツをしているのであれば、電解質が入ったスポーツドリンクがいいですし、室内や短時間の活動の場合は、普段の食事からも塩分などは摂取できるので、水やお茶でもいいと思います。

 

水分摂取量は、20分おきにコップ1杯が目安です。ただ、摂取量は部屋のなかにいるのか、屋外でスポーツをしているのかにもよります。汗をかく量や体重や体調、体力にも個人差があるので、必要量は人によって変わってきます。

 

水分補給のイメージ
望ましい水分摂取量は個人差があるが20分にコップ1杯が目安

── 飲み物の温度はやはり冷たいほうがいいのですか。

 

長谷川さん:ご自身が飲みやすい温度でいいと思います。冷えた室内では冷たいものを飲みたいとあまり思わないと思いますし、お風呂上がりにはアイスを食べたいと思う方も多いのではないでしょうか。体温が上昇しているスポーツの後などで、体の冷却効果を期待する場合、飲み物の温度の目安は、冷蔵庫で冷やしている4度ほどです。氷を入れた飲み物や、最近注目されている、粒子が細かい氷状で電解質や糖分などが入った「アイスラリー」はマイナス1度ほどですので、さらに冷却効果が高まります。

 

── 熱中症予防に必要なことを伺ってきましたが、熱中症になりにくい体づくりも大事だそうですね。

 

長谷川さん:今年は急に暑くなってしまったのでなかなか難しかったと思うのですが、熱中症を防ぐにはここまで暑くなる前の時期に体力づくりをしておくことが重要です。コロナ禍のあとに熱中症になる方が増えたというデータがあるのですが、やはり熱中症の予防には、運動をして体の機能を高め、健康状態を保っておくということが重要です。

 

学校の屋外プールや外のスポーツを夏の期間は中止にするという動きが全国的に見られますが、活動をゼロにしてしまうのではなく、室内のトレーニングなどを続けて体力づくりをしておく必要があります。禁止にしてしまうことは簡単ですが、そうするとますます体は暑さへの耐久性がなくなってしまいます。運動の機会をなくしてしまうのではなく、どうしたら安全に実施できるかを考えることが重要です。

 

スポーツの大会を運営する側も、柔軟に既存のルールを変えていく必要があります。シーズンの移行や、選手にも観客にも安全な会場を確保したりすることなども具体的に考え、すぐに実行していかねばならない時期にあると思います。

 

取材・文/内橋明日香