「いざというときに助け合える」夫との信頼関係
── 頼もしい限りです。いっぽうで、体力が回復して元気に活動する未知さんを見て、旦那さんは「闘病中なのに、大丈夫なのか?」と心配しませんか?
未知さん:夫はもともと、あれこれ細かく言ってくる人ではないんです。私が趣味のゴルフに連日行っても、「やめとけ」「そんなことして、しんどくならないか?」とは言いません。「やってみたらわかるやろ」「何かあれば助ける」という感じで、私が言うのもなんですが、器が広い人なんです。彼が新喜劇の座長を務めていたときも、細かいことを言わずに「やってみたら」という姿勢で、みんなをうまく引っ張っていました。もともと、夫婦で仕事の話はほとんどしませんが、私が「どう思う?」と相談すれば、答えてくれます。
── いい関係ですね。
未知さん:夫は娘に対しても同じで、何か相談されても、じっくり話を聞いてから、「わかった。でも、これはこういう理由があるから…」と、話し出します。私はせっかちなので、最初から娘に「ダメ!」「やめとき!お母さんは、何が起きるかお見通しなんだから」と言ってしまい、ケンカになるんですが…。
たとえば、娘に「夜のコンサート行きたい」と言われたら、私なんか「そんな遅い時間にコンサートが終わるなんて、家に帰ったら何時になると思ってるの!そんなところ行って、どんなこと起きるかわかったもんじゃない」って(笑)。母親に相談すると話が進まないと悟った娘は、まず夫に相談するようになりました。それを踏まえてから、私のところに相談しに来るので、それはそれでまた腹が立つんですよね(笑)。

── 反対に、未知さんが弱ったり、困っているとき、旦那さんはどのように?
未知さん:たとえば、私がインフルエンザにかかって寝ていても、バーッと部屋に入ってくるのではなく、「食べたいものあるか?」「なんかあったら言って」と、外からそっと声をかけてくれます。感染予防の意味合いもありますが、あとで扉の外に欲しいものを置いてくれるんです。私には、このほどよい距離感が快適で。
いざというときに助けてくれるところが好きですね。危機に際して助け合うって、夫婦なら当然だと思っていましたが、友人に聞くと、そうでないご夫婦もいるそうで驚きました。奥さんが大病しても、ご主人がまったく優しくしてくれなかったとか…。自分がいちばんつらいときに大切にしてもらえなかったのが忘れられなくて、数年後に離婚という話も聞くじゃないですか。私が夫と結婚するきっかけも、彼が病気のときにお見舞いにいったからなんです。相手が弱っているときは、思いやりたいですね。