理想の夫婦なんてあるのでしょうか?解き明かされない壮大なテーマかと思っていたら、未知やすえさんの言葉には、理想の夫婦像のヒントがたくさん詰まっていました。病気になって知る、お互いの思いや距離感に耳を傾けます。(全3回中の3回)
脚力低下に「散歩行くか」と気づかってくれた夫
── 吉本新喜劇座員として、今年で40年目を迎える未知やすえさん。「脳みそストローでチューチュー吸うたろか!」など、キレ芸で人気を博しています。じつは2020年から間質性肺炎で闘病中です。間質性肺炎は一般の肺炎とは異なる疾病であり、進行すると死につながる呼吸不全に陥る可能性のある病気。現在、未知さんは入院治療を経て症状が落ちつき、舞台やテレビで活躍していますが、入院当時、新喜劇の元座長である夫の内場勝則さんは、どんなご様子でしたか?
未知さん:最初、夫は「なんでお前が入院やねん…」とオロオロしていましたが、基本的には冷静に対応していました。入院までの間は、私に負担をかけないように気づかってくれましたし、入院中、私が不安にかられて夜中に電話したときも、静かに話を聞いてくれました。
── 新喜劇の美男美女カップルとして、ふだんから仲がいいイメージですが、退院後は夫の内場さんがサポートしてくれたのでしょうか?1か月の入院中、未知さんはウォーキングで足腰を鍛えましたが、退院後は自宅の2階に上がれないほど、筋力が落ちていたそうですね。
未知さん:わが家は三世代・親戚同居の大家族で、母が家事を手伝ってくれるので、日常生活は問題ありませんでした。いっぽう、夫は驚くほど筋力が弱って足が細くなった私を、「散歩行くか?」「どっか行こか?」と、よく誘い出してくれました。仕事場が同じこともあり、病気になる前は、ふだんから一緒に行動することはほとんどありませんでしたが、当時はコロナ禍で人と会えない事情もあり、自宅のベランダに敷物を敷いて、近所で買ってきたお弁当をふたりで食べたりしましたね。新鮮な経験でした(笑)。

── 体力が落ちた未知さんを見て、旦那さんもずいぶんと心配されたのでしょう。舞台復帰時は?
未知さん:舞台復帰後、しばらくは夫とふたりセットでイベントなどに出演させてもらっていたので、頼りになりました。体力が戻ったいまは、プライベートは別行動に戻りましたが、最近、夫婦ふたりでジムに入会したんですよ。「長く舞台で現役を続けるには筋力が不可欠」というのが夫の入会動機ですが、私は趣味のゴルフの飛距離を伸ばすため(笑)。マンツーマン型のジムでトレーナーも違うため、夫婦ふたりで同じ時間帯に行くことはありませんが、それぞれ体力アップを目指してがんばっています。