「完治はしない」と言われ病床で泣いたことも

── 偶然、コロナ禍に入院が重なったんですね。

 

未知さん:はい。最初は、2か月の入院になると聞かされていましたが、入院中もけっこう元気だったので「そんなにたいそうな病気なのだろうか」と疑問に感じていました。ただ、「慢性の間質性肺炎は完治しない」と、医師から告げられたときは落ち込みました。肺機能が損なわれた部分はもとに戻ることがなく、これ以上影が広がらないように現状を維持するしかないというのです。もともと前向きな性格ですが、入院中、何度か泣いたこともあります。

 

未知やすえ
間質性肺炎で入院中に娘さんからのクッションと写真におさまる未知さん

── 入院はご自身にとってどのような経験になりましたか?

 

未知さん:出産時でさえ、こんなに長く入院しませんでした。やがて、コロナ禍のため夫とも面会できなくなったんです。いちばんショックだったのは、コロナで志村けんさんが亡くなったニュースです。間質性肺炎で肺が弱っている私が、もしコロナにかかったら死んでしまうんじゃないか。どうしよう!と一気に不安がこみあげました。ステロイド剤を服用しており、その影響で眠れなくないことも手伝って、マイナスなことばかりが浮かんできました。

 

── 眠れないと余計なことを考えてしまいますよね。入院中、心の支えになったのは?

 

未知さん:やはり、早く舞台に戻りたいという気持ちです。新喜劇の仲間からの、LINEやメールはありがたかったです。ちょうど緊急事態宣言で劇場が閉まっている時期だったので、みんなからの「入院で大変だと思うけど、座員全員が家で待機しながら、毎日舞台のことを考えています。舞台に出られない悔しさはみんな同じです。一緒に芝居できる日を心待ちにしています」という内容に、本当に励まされました。

 

── 座員のみなさんの未知さんを気づかう気持ちが伝わってきます。入院中、心がけていたことは?

 

未知さん:入院してステロイド剤投与を受けましたが、入院中は副作用がほとんどなく、病気の自覚症状をあまり感じず元気でした。そのため、退院後を視野に入れ、1日2、3時間ほど病院内をウォーキングして足腰を鍛え、退院後の復帰に向けて体力をつけるなど、じゅうぶんに備えることができました。経過がよかったので、予定より短い、1か月ちょっとの期間を経て退院しました。