バドミントンの2012年ロンドン五輪女子ダブルスで銀メダルを獲得した藤井瑞希さん。2019年2月に現役を引退後、2022年に指定難病の「再生不良性貧血」と診断されました。今も病と闘いながら解説や普及活動を積極的に行っている藤井さんですが、治療に前向きに取り組み、同じ病を患う人たちの希望になっています。(全2回中の1回)
「何かしら病気かもしれない」予兆はあった

── 2022年9月に指定難病の「再生不良性貧血」と診断されました。この病気は血液中の白血球、赤血球、血小板のすべてが減少するため、出血に注意が必要。感染症も起こしやすくなるため、気をつけなければなりません。病気が発覚したときのことを教えてください。
藤井さん:私は26歳でバドミントンのプロ選手になってから引退後も毎年みずから人間ドックに通っていました。2022年の人間ドックを受けたときに「もう1度検査を受けてください」と連絡が来たんです。かかりつけの病院で診てもらったところ、その後すぐに連絡があって「紹介状を書くのですぐに大きな病院に行ってください」と言われて再度病院を受診することになりました。
── 人間ドックに行くまでは自覚症状や不調はなかったんですか。
藤井さん:あとで振り返ってみると、お風呂で湯舟に浸かってあがったときの吐き気がすごかったり、立ちくらみすることが何度もあったんです。あとは日常的に疲れを感じていたりつねに眠気があって横になりたがったり。生理もいつもは比較的軽いほうなのに、診断の1、2か月前は1時間も座っていられないほど血液の量が多かったですね。
何かしら病気かもしれないとは感じていたんですが、人間ドックを控えていたのでそのときに相談しようと考えていました。当時、解説やイベント出演の仕事などしていたんですが、ちょうど夏は繁忙期で忙しく、正直、気にしていられませんでした。もちろん、それでも自分の体の状態が普通でないことは理解していたので、一度医師に診てもらわないといけないことはいつも頭にあって。仕事の合間に病院へは何度も予約をとるために電話をかけていましたね。
── 20代半ばから自主的に人間ドックに行くなど、人一倍、体には気を配ってたでしょうし、アスリートということで健康には自信もあったかと思います。
藤井さん:健康でなければプレーできないですし、そういった意味でも現役時代から自分自身で体調管理はしていました。健康を維持しなければという意識は強かったと思います。だから自分の体の変化にも敏感な部分がありました。