60代に入り、人生の「終わり」を意識して
── ところで、今年で62歳になる松村さん。書の活躍もさることながら、肌のツヤもよく、身体も引き締まっていて、とても60代には見えません。なにか心がけている健康習慣がありますか?
松村さん:ありがとうございます、でも、年相応だと思いますよ(笑)。とはいえ、役者は身体が資本なので、体力づくりは欠かせません。早朝のジョギングとストレッチ、筋トレを毎日の習慣にしています。少し前までは、朝3時半に起きて、4時半前から1時間ほど、近所の公園を走っていました。1日7㎞くらい、調子がいいと13、14㎞くらい走っていましたね。今は膝をいためて走るのはお休み中ですけれど。
── 3時半起き!? それほど早く起きる理由はなんでしょう。
松村さん:僕は、「4時間前行動」が基本なんです。たとえば、舞台が11時開演なら、9時には楽屋に入りたい。移動や食事、身支度、体を動かす時間…逆算していくと4時には起きていないと間に合わないんです。また、健康管理も考えて昨夏から糖質制限を始めました。
── なにかきっかけがあったのでしょうか。
松村さん:食後にひどく眠くなることが続いて。「病気かな?」と不安になって調べているうちに「糖質疲労」という言葉に出合ってピンときたんです。血糖値の急上昇を防ぐため、糖質の摂取量を1日140グラム程度に抑えるように計算しながら食べています。基本的に白米は食べず、外食のときはその前後で調整していますね。昨夏から始めたのですが、眠気はかなり緩和されました。糖尿病の予防という意味でも続けていきたいですね。がんなどの病気は防ぎようがない部分がありますが、糖尿病は自分である程度コントロールできる病気ですから。
── 60代になって、心境の変化はありましたか?
松村さん:人生の「終わり」というものを意識するようになりました。昔は、死なんて遠い話でしたが、この年代になると、周りで病気になる人や他界される方の話を聞く機会が増えて。人生は有限なんだと、あらためて実感します。だからこそ、身体も心も健やかでいられるよう、日々のケアを大切にしていきたいですね。
取材・文/西尾英子 写真提供/松村雄基