最優先だったシーズンをまっとうできた
── 日本との医療制度との違いに戸惑いませんでしたか。
本田さん:まずいちばん最初に出てくるのが保険問題でしたね。2023年にガバメントがサポートしてくれる無料の保険に入っていたんですが、私が入っていた保険はプライマリー医(主治医)にリファーラル(紹介状)を書いてもらわないとスペシャリスト(専門医)に診てもらうことができない種類のものでした。
しかし運よく日本人のプライマリー医を見つけてお願いできることになって。会いに行ったらすぐに検査しましょうということになり、その場でマンモグラフィーと超音波検査の予約を入れてくれて。私の保険でも診ていただけるスペシャリストも探してくださったんです。
── そこで乳がんだと確定診断をされます。当時はどのようなお気持ちでしたか。
本田さん:生検を経て正式にがんだと宣告されました。言われたときはショックで涙が出ましたけど、ステージ1だということで、どこか安心するところもあって。それなら助かる可能性は高いだろうって。
── 前向きに捉えることができていたんですね。その後はどのような治療計画だったのですか。
本田さん:シーズン中はがん細胞の成長を抑制する薬を飲んで耐える。副作用で体力が少し落ちたり、ホットフラッシュがおきてつらい部分があったりしましたが、それでも最優先だったシーズンをまっとうすることができたので、結果的には自分が納得した道を選べたのかなとは思いますね。
── ジャガーズの関係者やチアリーダーのメンバーにはご自身の病状を伝えていたんですか。
本田さん:最初は仲のいいメンバーには伝えようかなと考えていましたが、「言わないで」と言っても漏れる可能性はあります。それが怖かったので、誰にも伝えませんでした。
何よりもみんなに心配かけたくなかったんです。同じグループにがんを患っている人がいるとなれば心配せざるを得ないし、常にその人のことが気になりますよね。チームの雰囲気や空気感が変わってしまうのは本意ではなかったですし、そういう状況にあることが私にとってもストレスになると感じて。普通に悔いのないラストシーズンを終えたいという気持ちだけでした。