転移や再発も「がんと共存する」
── 抗がん剤の副作用はつらいことが多かったのではないでしょうか?
斉藤さん:本当につらかったです。がん自体の痛みというより、副作用による全身の痛みのほうがすごくて。しびれたり、虚脱感で動けなくなったり、意識が急に落ちたりすることも。生理は止まりましたし、「抗がん剤を早くやめたい!」と思いました。「途中で何かあったらすぐ来てね」と言われるほど、油断できない状況ではありましたが、再発検査が半年後、次は1年後と次第に間隔が空いていきました。
がん発覚から今では20年くらい経ちます。その間、別部位に新たに発がんし、治療の繰り返しです。その都度対処していくしかありません。「もう大丈夫ですよ」と先生から一度も言われたことはないですし、私のがんは寛解もなければ、根治もないと思っています。今もがんとは共存しているわけですけど、問題の箇所が小さくなればなるほど生きてはいけるので、すぐに変化に気づけるように再発検査は欠かしません。
再婚直後に新たに見つかったがん「軟骨肉腫」
── 甲状腺がんと共存しているところに、さらに新たながんが発覚されたそうですね、驚かれたのではないでしょうか。
斉藤さん:4年前ですが、軟骨肉腫という骨のがんが見つかりました。触るとコリッとするものが、肩甲骨あたりにできてすぐに病院へ。22歳年下の今の夫と再婚したばかりのころでしたが、夫が病院に呼び出されて「このまま放置していたら3年は難しい」と。私のいないところで余命宣告をされて、ショックを受けていました。
放置した場合の話ですから「治療がうまくいけば10年は大丈夫」と言われ、私は「10年なら還暦は超えてるからいいか」なんて思ったりしたんですが、結婚したばかりだったから「やはり夫のことが心配だし、70歳くらいまでは生きたい」と、治療をちゃんと受けて今に至ります。抗がん剤を使わなくなって数年経過しても副作用は出るようで、最近も合併症による不整脈や血栓でカテーテルを通す入院したり。本当に次から次へといろんなことが起きますね(笑)。
なので「もう動けませーん」というような日は正直ありますが、仕事が好きなんですよ。今やっている声優のお仕事に力をもらっています。