魔女、妖怪、呪いの声…声優の仕事が今の生きがい

── 声優を始めることになったきっかけはあったのですか?
斉藤さん:もともとアニメや吹替作品が好きで、めちゃくちゃ声優さんのファンでした。そんな憧れの声優さんたちと舞台の打上げをしていたときに「斉藤さんやってみたら?」と勧めてもらったのがうれしくて、「一回やってみようかしら」と言っちゃったんです。そしたらすぐに電話が来て「やってみませんか?」と。声優業界は初めてなので、本当に暗中模索でした。何も知らないから、若い声優さんに教えてもらいながら始めました。
声優という新しいジャンルが、私の俳優としてのあり方をすごく考えさせてくれましたね。これまで声優と俳優はまったく別のものと思っていたけど、やってみて「これは生の舞台と一緒じゃん」って。その感覚が楽しくて「もっとうまくなりたい!もっとちゃんとやりたい!」って思うようになりました。新しい分野に挑戦している感じで。
── どんな役をやっていらっしゃるんですか?
斉藤さん:人間じゃない役が多いですね。魔女とか妖怪とか。呪いの声とかね。TVアニメ『呪術廻戦』の声も実はやらせてもらっています。あと、モブキャラっていう、そこにいるだけの「キャー」という声とかもやりますし、名前のない役もやります。それって演技力を磨かないとできないんですよ。子役のときのエキストラなんかで名もなき役をたくさん経験してきましたから、声優さんのすごさがわかる。かつて誰かが「声優は演技力がなくてもできる」といった人がいて、全力で反発してキレたことありました。飲み屋で(笑)。
声優として所属する現在の事務所では声優の子役を教える機会もいただき、自分も勉強しながら教えています。難しいけどやりがいがありますね。自分の体調と相談しながら、これからもずっと続けていきたいです。
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斉藤さんは2021年にコロナ禍で再婚しました。夫は22歳年下で、53歳と31歳の年の差婚。出会いは銀座の飲み屋だったそう。マネージャーさんのタレコミでは、かなりのイケメンとのこと!
PROFILE 斉藤こず恵さん
さいとう・こずえ。1967年生まれ、東京都出身。3歳で劇団若草に入団。74年NHKの朝ドラ・連続テレビ小説『鳩子の海』でヒロインの少女時代を好演し一躍人気子役に。76年には『山口さんちのツトム君』で歌手デビュー。その後、芸能活動を休止し、アメリカの大学に進学。帰国後は舞台俳優として活動のかたわら、テレビなどで数々のダイエット企画に挑戦する姿が話題に。現在は声優としても活動の場を広げている。
取材・文/加藤文惠 写真提供/斉藤こず恵