不妊治療がきっかけで子宮筋腫が発覚。術後に腹膜炎を発症し、1年間の人工肛門生活を送っていた中井美穂さん。病気の影響もあり、お子さんがいない人生を歩む決断をしますが、当初は家族への申し訳なさ、周囲からの望まない声に悩んだ時期があったそうです。(全3回中の2回)
病気と向き合うなかで変わった思い
── 妊活中に多発性子宮筋腫が発覚したと伺いました。妊活に関してその後、どう向き合ってきたのですか。
中井さん:結婚してから、妊娠、出産にはリミットがあるということはわかっていたものの、子どもは普通に授かれるんだろうと思っていました。

子宮に筋腫が見つかって、それをとることで不妊治療の確率を上げようとしたのですが、術後がよくなく、腹膜炎を患ってしまったことで妊娠よりも自分の体をケアすることが重要事項になっていきました。腹膜炎の手術の後に閉鎖手術もしたので、お腹を何度も開けているぶん、腸閉塞になるリスクがあります。再度、腸の病気にかかったら、永久的な人工肛門になるかもしれません。子どものことはいったん横に置かざるを得ないという状況でこれまで過ごしてきました。
── 元プロ野球選手で夫の古田敦也さんとは話し合いなどはされましたか。
中井さん:不妊治療は女性ひとりではできませんので、治療の間も夫は協力してくれていましたし、子どもを授かれなかったことに対して私を責めることもありませんでした。病気になってしまったことで、やっぱりお互いにどこかで、子どもよりもまず本人たちの生活をというのがあったと思います。仕事もそうですが、まずは自分たちというのがいちばんにあって、子どもについての話は自然と夫婦の話題に出なくなっていきました。
── 周りの方から子どもに関して尋ねられて、傷つく経験がある方は多いです。
中井さん:私も同じ経験があります。夫や夫の家族から「どうしても子どもを産んでほしい」と言われたことは一度もありませんが、何かと周りの方から言われることはありました。「お子さん、早くできるといいですね」とか、ちょっと太ったりすると「もしかして妊娠ですか」とか。夫婦や親族ではない、外野と言いますか、そういった周りの人たちから言われる言葉にいちいち傷ついてしまっていた時期がありました。でも、病気と向き合っていくなかで闇雲に「何が何でも子どもを」とはだんだんと思わなくなっていきました。