お金の使い道を変えたことで開けたビジネス観
住居費を払わなくなったことで生活コストが減り、お金が貯まるように。これまでカツカツだった生活では自分のためにお金を使えませんでしたが、貯まったお金を使ってヒッチハイクで旅をするなど、自分探しの挑戦を始めました。そんな毎日の中で井上さんの目に留まったのが、当時流行り始めていたオンラインサロン。これまでならサロンにお金を払う考えはなかったそうですが、これもお金の使い方を変えた結果、思いがけず巡り合えた幸運でした。
「友だちの家で見たテレビのニュースでオンラインサロンが特集されていたんです。お笑いコンビ・キングコングの西野(亮廣)さんや編集者の箕輪(厚介)さんのオンラインサロンなどが取り上げられ、堀江貴文さんのサロンも紹介されていました。僕は堀江さんより下の世代のため、『刑務所に入っていた人』くらいしか知らなかったんですけど、月1万円もする高額なコミュニティってどんなところなんだろう?と興味をひかれて、入会することにしたんです」

堀江貴文さんのオンラインサロンには年齢や職業などが異なる人が集まっていたそう。ホリエモンがイベントを主催するだけでなく、サロン参加者も積極的に各種イベントを開催。井上さんは調理経験を活かし、出張料理人やパーティーの料理を請け負うようになり、いつしかサロン内では「料理できる人」という存在に。そして、ホリエモンのひと言で運命を変える日がやってきます。
「あるとき、堀江さんが『田舎でパン屋をやったら、おもしろいんじゃないか』とつぶやいたんです。この意見に賛同した人がパンの製造者として僕を誘い、ふたりで北海道大樹町に移住。創業したのが『小麦の奴隷』です」